伊豆メディカル農園から届く野菜が、そのまま皿の主語になる
この店の料理を説明するとき、最初に出てくるのは調理法ではなく産地だ。伊豆メディカル農園で自社栽培した野菜を、生産から直接厨房へつなげている。仕入れ先を選ぶのではなく、自分たちで育てたものを運んでくる——この一段の違いが、メニューの組み方そのものを変えている。季節ごとの旬をそのままコースに落とし込めるので、同じ季節のうちに二度訪れても皿の顔ぶれが入れ替わることがある。看板として案内されているのは採れたて野菜のサラダディッシュで、葉物だけでなく色の異なる根菜や豆が一皿の中に混ざる。パスタや前菜でも野菜が主語の位置に置かれ、肉や魚はその横に並ぶ構成だ。ベジタリアン向けのメニューを用意していることも、野菜が中心にある店だからこそ無理なく成り立っている。何を作るかより先に、いま畑で何が採れているかが決まっている。逆算ではなく順算で組まれた料理だと考えると、この一軒の輪郭はずいぶんつかみやすくなる。