ファーム富田
戦後の早い時期からラベンダー栽培を続けてきた農園で、一度は香料需要の縮小で畑を失いかけながらも紫の景色を守り抜いた歴史を持つ。だからこの丘の紫には、ただ美しいだけでない粘りのようなものがにじむ。濃紫早咲などラベンダー数種を畑ごとに植え分け、開花のピークを少しずつずらしてあるため、六月下旬から八月初旬まで見頃が続くのもこの農園ならでは。入園は無料で、ラベンダーソフトクリームを片手に畝の間を歩ける。
富良野盆地から美瑛の丘へ抜ける数十キロは、ハンドルを握る人のための風景だ。ラベンダーが帯になって紫に染まるのは六月下旬から八月のはじめにかけて。その前後も、ポピーやサルビアが畑を塗り替え、麦やビートの緑が丘のうねりをなぞる。ここでは花の色そのものが地形を見せてくれる──平らに見えた土地が、実は波打っていたことに、満開の畝を目で追って初めて気づく。車を停めて坂を上り、また走り出す。そのリズムを五つの場所でつないでいく旅を組んでみた。
FURANO BIEI ─ 花畑と丘の自然ドライブ
マチノワ編集部
順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。富良野盆地から美瑛の丘へ抜ける数十キロは、ハンドルを握る人のための風景だ。ラベンダーが帯になって紫に染まるのは六月下旬から八月のはじめにかけて。その前後も、ポピーやサルビアが畑を塗り替え、麦やビートの緑が丘のうねりをなぞる。ここでは花の色そのものが地形を見せてくれる──平らに見えた土地が、実は波打っていたことに、満開の畝を目で追って初めて気づく。車を停めて坂を上り、また走り出す。そのリズムを五つの場所でつないでいく旅を組んでみた。
戦後の早い時期からラベンダー栽培を続けてきた農園で、一度は香料需要の縮小で畑を失いかけながらも紫の景色を守り抜いた歴史を持つ。だからこの丘の紫には、ただ美しいだけでない粘りのようなものがにじむ。濃紫早咲などラベンダー数種を畑ごとに植え分け、開花のピークを少しずつずらしてあるため、六月下旬から八月初旬まで見頃が続くのもこの農園ならでは。入園は無料で、ラベンダーソフトクリームを片手に畝の間を歩ける。
ファーム富田から美瑛へ向かう国道237号が美馬牛峠を上りきるあたりに、斜面ごと花でくるんだような畑が現れる。ラベンダーにサルビア、クレオメなど三十種以上を帯状に植え分けてあり、坂の傾斜がそのまま花の階段に見えるのがこの農園の持ち味だ。平地の花畑では味わえない、見上げる構図が生まれる。農家が営む直売もあり、その場で掘ったじゃがいもやとうもろこしが並ぶ。
なだらかな丘の起伏をそのままキャンバスにした花畑で、サルビアやマリーゴールドなどを色ごとに帯状に並べ、丘のカーブに沿って縞模様が波打つ。地形と植栽が一体になった眺めは、平地の花壇では決して出せないもの。トラクターが牽くバスで畑を一周でき、坂の頂からは十勝岳連峰まで見渡せる。アルパカ牧場が併設されているのも子ども連れには嬉しい。
区画ごとに小麦や豆、ビート、じゃがいもなどを作り分けた畑が、緑や黄や茶の四角を縫い合わせたように見えることからこの名がついた農道一帯。花壇ではなく作物の畑が織りなす景色なので、季節と年で柄が刷新されるのがこの場所の面白さだ。日産スカイラインのCMで知られるケンとメリーの木、たばこのパッケージになったセブンスターの木など、一本の木が丘の主役になる名所が点在する。あくまで生産者の農地のため、畑には立ち入らず路肩マナーを守って眺めたい。
十勝岳の防災工事でできた堰堤に水が溜まり、火山由来の成分を含んだ水が光を散らして青白く発色する人工的な偶然の産物。その水底から立ち枯れたカラマツが灰色の幹を突き出し、青の中に静かな線を引くさまは、富良野の花畑とは対極の無音の風景だ。天気や時間帯、見る角度で青の濃さが変わるので、晴天の午前が比較的見やすいとされる。冬は積雪で水面が隠れる代わりに、夜のライトアップが行われる時季もある。
花の色が、丘のかたちを教えてくれる。マチノワ編集部
花は咲く時期も色も毎週移ろうので、何が見頃かは各園や美瑛・富良野の観光協会サイトで出発前にのぞいておくと、立ち寄る順番を決めやすい。入園や駐車の条件も園ごとに違い、季節で変わることがある。富良野の紫から美瑛の青へ──色を追って走るうちに、丘そのものを好きになっているはずだ。文・