東寺 南大門
九条通に面して建つ境内最大の門で、もとは三十三間堂の西門だった建物を明治期に移築したと伝わる。八脚門の堂々とした構えの先に、金堂・講堂・五重塔が境内の軸に沿って並ぶ。この門をくぐった瞬間に、東寺が個々の堂の集まりではなく、軸線を意識して設計された官寺だったことが体でわかるので、最初に通る門としてふさわしい。門の手前から五重塔が境内の奥に覗く眺めも見ておきたい。
京都駅の南、近鉄でひと駅の場所に、平安京の記憶をそのまま残す寺がある。東寺は794年の平安京遷都の2年後、延暦15年(796年)に国家鎮護の官寺として羅城門の東に建てられ、のちに空海へ託されて真言密教の根本道場となった。観光地として華やかというより、仏像と建築が静かに密度を持って積み重なっている場所、というのが歩いてみての実感に近い。この半日コースは、敷地の南端からまっすぐ北へ進むのではなく、まず塔を遠目に確かめ、堂内で曼荼羅を体で受け止め、最後に空海の私的な空間へ降りていく――拝む対象が大きな建築から人の像へと縮んでいく順で組み立てた。午前のうちに門をくぐり、昼前に境内を出るくらいの分量で考えている。
観光 / TOJI
マチノワ編集部
順位ではなく、編集部が選んだ5軒の名店を順にご紹介します。京都駅の南、近鉄でひと駅の場所に、平安京の記憶をそのまま残す寺がある。東寺は794年の平安京遷都の2年後、延暦15年(796年)に国家鎮護の官寺として羅城門の東に建てられ、のちに空海へ託されて真言密教の根本道場となった。観光地として華やかというより、仏像と建築が静かに密度を持って積み重なっている場所、というのが歩いてみての実感に近い。この半日コースは、敷地の南端からまっすぐ北へ進むのではなく、まず塔を遠目に確かめ、堂内で曼荼羅を体で受け止め、最後に空海の私的な空間へ降りていく――拝む対象が大きな建築から人の像へと縮んでいく順で組み立てた。午前のうちに門をくぐり、昼前に境内を出るくらいの分量で考えている。
九条通に面して建つ境内最大の門で、もとは三十三間堂の西門だった建物を明治期に移築したと伝わる。八脚門の堂々とした構えの先に、金堂・講堂・五重塔が境内の軸に沿って並ぶ。この門をくぐった瞬間に、東寺が個々の堂の集まりではなく、軸線を意識して設計された官寺だったことが体でわかるので、最初に通る門としてふさわしい。門の手前から五重塔が境内の奥に覗く眺めも見ておきたい。
高さ約55mの木造塔で、現在のものは寛永21年(1644年)に徳川家光が再建奉納した五代目にあたる。落雷などで四度失われながら同じ姿で建て直されてきた歴史そのものが、この塔が京都駅周辺の空に長く目印であり続けた理由を物語っている。初層内部は柱や壁に密教世界が極彩色で描かれた空間だが、ふだんは非公開で、特別公開の期間にだけ扉が開く。まずは外から全景を仰いで、コースの起点にしたい。
創建時の堂は焼失し、現在の建物は桃山時代の慶長8年(1603年)に豊臣秀頼の発願で再建された。屋根の中央が一段高く持ち上がる構えは、和様に大仏様の手法を取り込んだもので、内部に入ると薬師如来を中尊とする薬師三尊が見上げるほどの大きさで迎える。台座をぐるりと十二神将が囲む配置は、堂そのものが一つの仏の世界として設計されていることを伝えてくる。
空海が密教の教えを目に見える形で示そうと構想した堂で、堂内には大日如来を中心に如来・菩薩・明王・天部など21躯の仏像が立体曼荼羅として配置されている。平面の図像ではなく像の群れが空間に並ぶため、どこに立つかで仏どうしの関係が変わって見え、絵解きの図とはまったく違う体験になる。多くが平安時代の作で、密教彫刻の出発点を間近で確かめられるのがこの堂ならではの価値だ。
空海がかつて住房とした場所に建つ堂で、現在の建物は康暦2年(1380年)の再建で国宝に指定されている。堂内には弘法大師坐像と、空海の念持仏と伝わる秘仏の不動明王坐像が祀られ、今も毎朝、空海へ食事を供える生身供(しょうじんく)が続けられている。拝観料のかからない区域で、観光というより手を合わせに来る人が多く、線香の匂いと静けさが境内のほかの堂とは違う時間を作っている。
塔を仰ぎ、堂で曼荼羅に囲まれ、最後に空海の住まいへ。大きな建築から人の像へと、視線が静かに降りていく半日。マチノワ編集部
9時すぎに近鉄東寺駅を出て、住宅地の路地を抜けると南大門が見えてくる。門前で一度立ち止まって全体の配置を眺めたら、有料エリアの拝観受付へ。9時半ごろ金堂へ入り、薬師三尊の量感に慣れたところで隣の講堂へ移ると、10時前後には立体曼荼羅の真ん中に立っている。仏像群をひと回りして外へ出れば、北西側の御影堂は10時半ごろ。ここは拝観無料の祈りの場なので、線香の匂いのなか弘法大師像に手を合わせて静かに過ごしたい。11時に再び五重塔を見上げて全体を写真に収め、11時半には門を出て京都駅方面へ。半日でも、平安京以来の時間がそれなりの重さで残るはずだ。なお金堂・講堂・五重塔は有料拝観エリア、南大門と御影堂は無料区域で、初層内拝の有無や各堂の料金・受付時間は時期で動く。出かける前に東寺の公式サイトで最新の案内を見ておくと安心できる。