洞爺湖(中島・洞爺湖汽船)
ほぼ円形の洞爺湖は、約11万年前の大噴火でできた窪地に水がたまったカルデラ湖で、湖の真ん中に浮かぶ中島は、そのあとの火山活動で湖底から盛り上がってできた島だ。つまり湖と島は別の時代の噴火の産物で、それを一度に見渡せるのが双胴の遊覧船。大島・弁天島・観音島・饅頭島からなる中島には夏季に大島で上陸でき、島内の博物館で湖がどう形づくられたかをたどれる。
洞爺湖を「きれいな湖」とだけ眺めて帰るのは、少しもったいない。この円い湖はおよそ11万年前の巨大噴火でできたカルデラに水がたまったもので、中央に浮かぶ中島も、湖を見下ろす昭和新山も、すべて地下のマグマが地表に書き残した痕跡だ。火山は遠い過去の話ではなく、昭和新山は1940年代の噴火で麦畑が盛り上がって生まれた山であり、有珠山は20世紀だけで複数回噴火している。つまりここでは「絶景」と「生きている火山」が同じ風景の中に同居している。湖の水面、火口の噴煙、隆起した赤い岩肌。そのコントラストを、湖上の船、山上のロープウェイ、高台の展望台と視点を変えながら追いかけると、洞爺湖の地形そのものが立体的に見えてくる。今回は火山と湖という一本の軸で、その読み解き方を案内する。
噴火が刻んだ地形を、湖上と山上から読み解く
マチノワ編集部
順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。洞爺湖を「きれいな湖」とだけ眺めて帰るのは、少しもったいない。この円い湖はおよそ11万年前の巨大噴火でできたカルデラに水がたまったもので、中央に浮かぶ中島も、湖を見下ろす昭和新山も、すべて地下のマグマが地表に書き残した痕跡だ。火山は遠い過去の話ではなく、昭和新山は1940年代の噴火で麦畑が盛り上がって生まれた山であり、有珠山は20世紀だけで複数回噴火している。つまりここでは「絶景」と「生きている火山」が同じ風景の中に同居している。湖の水面、火口の噴煙、隆起した赤い岩肌。そのコントラストを、湖上の船、山上のロープウェイ、高台の展望台と視点を変えながら追いかけると、洞爺湖の地形そのものが立体的に見えてくる。今回は火山と湖という一本の軸で、その読み解き方を案内する。
ほぼ円形の洞爺湖は、約11万年前の大噴火でできた窪地に水がたまったカルデラ湖で、湖の真ん中に浮かぶ中島は、そのあとの火山活動で湖底から盛り上がってできた島だ。つまり湖と島は別の時代の噴火の産物で、それを一度に見渡せるのが双胴の遊覧船。大島・弁天島・観音島・饅頭島からなる中島には夏季に大島で上陸でき、島内の博物館で湖がどう形づくられたかをたどれる。
昭和新山は、1940年代の有珠山の噴火活動でそれまで麦畑だった土地が数年かけて隆起してできた、生まれたばかりの火山だ。粘り気の強い溶岩が押し上げた溶岩ドームで、地表近くの土が熱で焼かれて赤茶けた岩肌になり、今も山肌のあちこちから白い噴気が上がっている。誕生の過程を地元の郵便局長・三松正夫が克明に記録したことでも知られ、その観測ぶりは山麓の記念館で触れられる。山には立ち入らず麓から眺めるのが基本だ。
昭和新山の隣に立つ有珠山は、20世紀に何度も噴火を繰り返してきた活火山。ロープウェイで山頂駅まで上がり、遊歩道を数分歩いた先の火口原展望台に立つと、1977年の噴火でできた火口が眼下に広がり、今も水蒸気を上げる生々しい地形を見下ろせる。振り返れば洞爺湖と中島、足元に昭和新山という、火山と湖を一画面に収める眺めが待っている。点検運休の日もあるため、運行状況は事前に公式で確かめておきたい。
湖を北西の高台から見下ろすこの展望台は、洞爺湖の円い水面、中央の中島、湖の南に連なる有珠山と昭和新山までを一度に視界へ入れられる場所だ。これまで船から、山頂から見てきた地形を、ここで俯瞰すると「カルデラに水がたまり、その縁を火山が固める」という洞爺湖の構造が一枚の風景として腑に落ちる。売店や、湖を望むウッドデッキに面したカフェも併設され、ソフトクリーム片手に景色を眺める時間が取りやすい。
湖のすぐ際まで宿が並ぶこの温泉街は、火山地帯ならではの湯がわく場所で、めぐり歩きの締めくくりにちょうどいい。春から秋にかけては毎夜、船が湖上を移動しながら花火を打ち上げる催しが続き、湯気の向こうや客室・露天風呂から、湖面に映る光をゆったり眺められるのが洞爺湖ならでは。花火の開催期間や時刻は年によって変わるので、訪れる前に観光協会の案内で日程を確かめておくとよい。
水をたたえた円い湖と、いまも湯気を上げる火口。洞爺湖では、絶景と火山が地続きで並んでいる。マチノワ編集部
洞爺湖をめぐっていると、「静かな湖」と「荒々しい火山」が反対のものではなく、同じ大地の表と裏なのだと感じられてくる。噴火がカルデラをつくり、そこに水がたまって湖になり、その湖をいまも火山が縁取っている。湖面の青、火口の白い噴煙、昭和新山の赤い岩肌を一日でたどれば、風景の見え方は来る前と確実に変わっているはずだ。なお、ロープウェイや遊覧船の運航は天候や点検で休止することがあり、温泉街の催しも年によって日程が動く。出かける前に、各施設の公式発表で最新の状況を一度のぞいておくと安心だ。