三千院
御殿門の石垣をくぐると、まず聚碧園(しゅうへきえん)の池が客殿の縁先に開ける。さらに奥へ進んで有清園(ゆうせいえん)に出ると、杉木立の足元いっぱいに苔がうねり、その緑の海のなかに往生極楽院がぽつんと建っている。堂内には平安期の阿弥陀三尊像(国宝)が安置され、来迎(らいごう)を表すように脇の二尊がわずかに前かがみに座る。見落としたくないのは苔のあいだの「わらべ地蔵」——彫刻家・杉村孝の手による小さな地蔵が数体、苔に半分埋もれて笑っている。観光寺らしからぬこの愛嬌が、大原の入口にふさわしい。