竹田城跡
穴太積みの石垣がほぼ完存し、天守台から南千畳・北千畳・花屋敷へと伸びる縄張りを地上で歩いて確かめられるのが、ここが「天空の城」と呼ばれる理由の核心だ。秋から初冬の冷え込んだ朝、円山川の霧が城を取り囲むと、自分が立つ石垣の列だけが雲の上に残る。雲海は気象が揃った日にしか出ないが、晴れていても標高354メートルからの但馬の山並みは見応えがある。石垣保護のため立入区域とルートが決められており、足元は滑りやすいので歩きやすい靴で。
雲海は、待つものだ。秋から初冬、よく晴れて冷え込んだ夜が明ける前後、円山川から立ちのぼった霧が谷を満たし、標高354メートルの古城山の石垣だけが白い海の上に取り残される。その一瞬を見たいなら、向かい合う二つの立ち位置を覚えておくとよい。城そのものに登って霧を足元に見下ろすか、対岸の山腹から城が海に浮かぶさまを正面に望むか。同じ朝でも、どちらに立つかで風景はまるで別物になる。この特集は、その雲海と山城という一点に絞り、霧が晴れたあとの城下までを歩いてつなぐ。出発は夜明け前。だからこそ、列車で着くなら駅舎の灯りから一日が始まる。
雲海と山城を、ふもとから頂きまで一日かけて味わう
マチノワ編集部
順位ではなく、編集部が選んだ5スポットを順にご紹介します。雲海は、待つものだ。秋から初冬、よく晴れて冷え込んだ夜が明ける前後、円山川から立ちのぼった霧が谷を満たし、標高354メートルの古城山の石垣だけが白い海の上に取り残される。その一瞬を見たいなら、向かい合う二つの立ち位置を覚えておくとよい。城そのものに登って霧を足元に見下ろすか、対岸の山腹から城が海に浮かぶさまを正面に望むか。同じ朝でも、どちらに立つかで風景はまるで別物になる。この特集は、その雲海と山城という一点に絞り、霧が晴れたあとの城下までを歩いてつなぐ。出発は夜明け前。だからこそ、列車で着くなら駅舎の灯りから一日が始まる。
穴太積みの石垣がほぼ完存し、天守台から南千畳・北千畳・花屋敷へと伸びる縄張りを地上で歩いて確かめられるのが、ここが「天空の城」と呼ばれる理由の核心だ。秋から初冬の冷え込んだ朝、円山川の霧が城を取り囲むと、自分が立つ石垣の列だけが雲の上に残る。雲海は気象が揃った日にしか出ないが、晴れていても標高354メートルからの但馬の山並みは見応えがある。石垣保護のため立入区域とルートが決められており、足元は滑りやすいので歩きやすい靴で。
城に登るのではなく、谷を挟んだ朝来山の中腹から竹田城跡そのものを眺めるための場所。第1展望台まで上がると、霧が出た朝には石垣の城が雲の海にぽつんと浮かぶ「天空の城」の定番構図が正面に開ける。2021年に第1展望台よりさらに高い「立雲峡テラス」が整備され、ガラスのモニュメント越しに城へ光の道が伸びるように撮れる仕掛けも置かれた。登山口で1人300円の環境整備協力金を渡してから登る。展望台までは未舗装の山道なので、ヘッドライトと滑りにくい靴を。
1906年(明治39年)開業の黒瓦・木造の駅舎が今も使われ、ホームに立つと正面の古城山に城跡を背負って見える構図になる。駅舎内に観光案内があり、竹田城跡のパンフレットや登山道の最新情報を確かめてから歩き出せるのが、夜明け前に動く雲海狙いの旅では心強い。車中心の城だが、列車で来ればこの古い駅から表米神社登山道や寺町通りへそのまま徒歩で入れる。駅前から城へ向かう天空バスも季節運行される。
格技を好んだと伝わる表米宿彌命を祀る社で、参道脇の広場に半円形の石積み段型桟敷が残るのが他にない見どころ。中央の土俵を六段の石積みが半円に囲み、野外の観覧席のような構えで、県指定の文化財になっている。歌舞伎を上演したとも伝わる舞台も向き合って立つ。この境内が表米神社登山道の入口にあたり、竹田城へ向かう前に立ち寄って手を合わせる人も多い。早朝の登城前なら、薄明かりの石段が静かだ。
車で来た場合に城へ最も近づける施設で、ここから先の中腹へは一般車が入れず、西登山道を歩くか天空バス・タクシーに乗り換える、いわば登城の関所にあたる。背後に竹田城跡を望むテラスがあり、レストランでは但馬牛や地元野菜を使った料理が出る。雲海狙いで暗いうちに山へ入る前の腹ごしらえにも、下山後の一息にも使える。秋の土日祝には早朝の朝食営業が組まれる時期もあり、登城前に温かいものを口にできるのはありがたい。営業時間は時期で動くので公式で確かめたい。
海の上に城だけが残る朝は、年に何度もない。だから人は、暗いうちから山を登る。マチノワ編集部
霧が引いたあとの城下は、登山とはまったく違う時間が流れている。石垣の頂で見た雲海と、ふもとの表米神社に残る円形の相撲桟敷を、同じ一日のなかに収められるのが、この街の懐の深さだ。観覧時間や料金、登山道の開門時刻は季節で細かく変わり、雲海そのものは気象次第。出かける前に朝来市や各施設の公式情報へ一度目を通しておけば、暗い山道で迷うことも、開門前に立ち尽くすこともない。マチノワ編集部としては、初訪なら無理に雲海狙いで一発勝負にせず、晴れた城歩きそのものを目的に据えることを勧めたい。霧は、また来ればいい。