四天王寺
西側の石鳥居をくぐると、まず空気の密度が変わる。聖徳太子の創建と伝わるこの寺は、いまは天台宗から独立した和宗の総本山で、境内の外を歩くだけなら門は終日ひらいている。歩を進めて中心伽藍に入ると、中門・五重塔・金堂・講堂がまっすぐ南北に並ぶ「四天王寺式」の配置が一望できる。寺社の伽藍は時代とともに増改築で複雑になりがちだが、ここはあえて最古級のこの直線形を守りつづけてきた——だから境内に立つと、図面の上を歩いているような不思議な見通しのよさがある。塔は戦火や落雷で幾度も焼け、そのたびに同じ姿で建て直されてきた。今の朱塗りもまた、その長い再建の連なりの先端にある。