定食屋の顔をしたフレンチ。煮込みとコンフィが軸になる
sakurayaの料理を一言で言えば、定食の体裁をまとったフレンチだ。店先の黒板に並ぶのは、ビーフストロガノフ、煮込みハンバーグ、豚すね肉のビール煮、鶏もも肉のコンフィといった顔ぶれ。いずれも時間をかけて火を入れる洋食の定番で、これをシェフが一人で仕込み、定食として出す。コンフィや煮込みは、家庭でさっと作るのが難しい部類の料理だ。低温でじっくり脂を移す、赤身を長く煮てほどける手前で止める——そうした手間が一皿の奥行きを決める。元フレンチシェフが厨房に立つ店だからこそ、こうした料理を日常の値段で食べられる。さしみの小鉢が添えられるあたりに、福岡の定食屋らしい折衷も覗く。フレンチレストランの敷居は高いが、その腕で作る定食なら肩肘張らずに通える。ここで食べる一食は、洋食の手仕事を普段の食卓に近い距離で受け取れる場として成り立っている。