マチノワ · 2026年 春号
2026-06-16
TAKARAYA SHIMIZU

酒蔵 たから屋、
駿河湾の夜。

清水の街は、港と暮らしがすぐ隣り合っている。駿河湾でその朝に揚がった魚が、河岸の市場から街なかの台所へと運ばれ、夜には居酒屋の品書きに姿を変える——そんな循環が、この港町には今も残っている。静岡鉄道の新清水駅から歩いてすぐ、相生町の通りに灯る赤い看板が、酒蔵 たから屋だ。創業からおよそ六十年、いまは三代目が暖簾を引き継ぎ、清水や由比の市場で見つけた魚を肴に出している。気取らない構えと、その日の海の都合で変わる一皿。仕事帰りに一人で立ち寄っても、気の置けない相手と長っ尻に飲んでも、ちょうどいい距離感で迎えてくれる。港町の夜を、魚と酒でゆっくりほどく場所として読んでいきたい。

副題

駿河湾の魚介と三代の暖簾、清水・相生町の海鮮居酒屋

編集

マチノワ編集部

駿河湾の魚介と三代の暖簾、清水・相生町の海鮮居酒屋編集部厳選TAKARAYA SHIMIZU5 POINTS2026年 春号駿河湾の魚介と三代の暖簾、清水・相生町の海鮮居酒屋編集部厳選TAKARAYA SHIMIZU5 POINTS2026年 春号
NG-01みなとみらい、昼の海から…NG-02みなとみらい、雨でも濡れ…NG-03桜木町、夜の港を歩くデー…NG-04赤レンガ倉庫から始める、…NG-05大さん橋・山下公園・港の…NG-06馬車道から日本大通りへ、…NG-07関内・日本大通りを歩く。…NG-08山下公園から山手へ、海と…NG-09横浜中華街から港まで、食…NG-10元町から山手の坂を歩く。…NG-11横浜駅、雨の日は地下でつ…NG-12横浜駅、空いた時間を歩く…NG-13野毛、昭和の飲み屋街を歩…NG-14新横浜、新幹線待ちの数時…NG-15新横浜、ライブの前後を歩…NG-16鎌倉、小町通りから八幡宮…NG-17長谷・由比ヶ浜デート半日…NG-18江ノ島、夕陽を追いかける…NG-19鎌倉、雨の日を歩く。濡れ…NG-20川崎、雨でも傘がいらない…NG-21武蔵小杉、子連れで丸一日…NG-22たまプラーザからあざみ野…NG-23箱根湯本で過ごす温泉半日…NG-24小田原、城と海をつなぐ城…NG-25茅ヶ崎、海風をたどって歩…NG-26藤沢、江ノ電の起点をぶら…NG-27横須賀どぶ板通りから始め…NG-28三浦海岸から三崎港へ、海…NG-29港北ニュータウンで子ども…NG-30横浜、初デートの半日コー…NG-31浅草、雷門から川辺まで歩…NG-32上野公園、文化と自然を一…NG-33新宿、余った時間を歩く。…NG-34渋谷から表参道へ、半日デ…NG-36スカイツリー押上・向島 …NG-37銀座から丸の内へ、二人で…NG-38六本木・港区、夜景を上か…NG-39池袋、雨でも一日つぶせる…NG-40東京、雨だからこそ屋内文…NG-41東京、子連れで外さない屋…NG-42東京、初デートの半日コー…NG-43恵比寿・代官山、午後から…NG-44中目黒、目黒川を上流へ歩…NG-45吉祥寺を一日歩く。井の頭…NG-66裏原宿で外さない古着とス…NG-71銀座を歩く、無料の画廊と…NG-75渋谷の週末ブランチ半日コ…NG-76新宿御苑を歩く。緑の中で…NG-77六本木アートトライアング…NG-78丸の内、目利きが選ぶ建築…NG-79表参道、ブランチを歩く朝…NG-80中目黒、朝の目黒川を歩く…NG-81自由が丘、甘い路地を歩く…NG-88豊洲、市場の朝とアートの…NG-90八王子を歩く、玉ねぎラー…NG-102神奈川を週末で歩く。横浜…KS-01梅田から中之島へ、夜景を…KS-02嵐山、渡月橋から竹林を抜…KS-03神戸ハーバーランド、子連…KS-04祇園から清水寺へ、京都デ…CB-01名古屋・栄から大須へ、タ…KS-05難波から道頓堀へ、食い倒…KS-06新世界・通天閣 下町半日…KS-07天王寺・あべの、子どもと…KS-08大阪城公園を歩く。天守閣…KS-09天保山・海遊館 子連れ半…KS-10万博記念公園、子連れで過…KS-11伏見稲荷を歩く。千本鳥居…KS-12きぬかけの路、名刹をつな…KS-13河原町から先斗町へ、鴨川…KS-14宇治、茶の香りを歩く。平…KS-15北野異人館、坂を上って洋…KS-16三宮から南京町、食べて歩…KS-17有馬温泉、湯けむりの坂を…KS-18奈良公園、大仏と鹿のあい…KS-19猿沢池からならまちを歩く…CB-02名駅から則武へ、ものづく…CB-03熱田神宮から水辺へ、半日…CB-04名古屋港、海を見せに行く…CB-05熱海、海へ下る湯けむりの…KY-01天神で立ち寄りたい、地下…KY-02中洲・川端、夕暮れから屋…KY-03大濠公園で過ごす子連れ半…KY-04太宰府、参道から山あいの…KY-05鹿児島・天文館&桜島、火…HK-01札幌の中心を歩く朝さんぽ…HK-02すすきの、灯りを継いで歩…HK-03小樽運河から堺町通りへ、…CG-01広島・平和記念公園、慰霊…CG-02宮島、潮と原始林を歩く。…KT-01川越、蔵の町を歩くさんぽ…G8-01百舌鳥古墳群・大仙公園 …G8-02天神橋筋商店街で立ち寄り…G8-03住吉大社を歩く。反橋から…G8-04銀閣寺から哲学の道を歩く…G8-05二条城・京都御所 半日モ…G8-06姫路城 半日モデルコース…G8-07宝塚で立ち寄りたい花のみ…G8-08城崎温泉、外湯めぐりの夜…G8-09大津、琵琶湖の水辺をたど…G8-10近江八幡・八幡堀を歩く。…G8-11和歌山城・城下半日モデル…G8-12白浜、海の絶景をめぐる。…G8-13名古屋城・本丸御殿 半日…G8-14有松を歩く。絞りの町並み…G8-15三保松原から清水を歩く。…G8-16駿府城・静岡中心 半日モ…G8-17糸島、海とカフェの一日。…G8-18柳川を歩く。掘割の川下り…G8-19函館・元町と夜景 半日モ…G8-20旭川で子連れに立ち寄りた…G8-21尾道を歩く。坂と路地、千…G8-22伊香保温泉、石段街の坂を…G8-23秩父、自然と古社をめぐる…G8-24谷根千を歩く。谷中・根津…G9-01高尾山を歩く。薬王院から…G9-02柴又を歩く。帝釈天の参道…G9-03国営昭和記念公園で一日。…G9-04門前仲町・深川を歩く。八…G9-05箕面大滝へ。紅葉の渓谷を…G9-06四天王寺を歩く。日本仏法…G9-07鞍馬から貴船へ。叡電で抜…G9-08大原・三千院を歩く。苔の…G9-09西宮で立ち寄りたい。甲子…G9-10摩耶山・六甲の夜景。掬星…G9-11斑鳩・法隆寺 半日モデル…G9-12吉野山を歩く。蔵王堂と桜…G9-13犬山城・城下町 半日モデ…G9-14常滑やきもの散歩道を歩く…G9-15浜松・浜名湖で立ち寄りた…G9-16修善寺温泉。竹林の小径と…G9-17小倉城・城下 半日モデル…G9-18宗像大社を歩く。海の正倉…G9-19富良野・美瑛。花畑の丘と…G9-20登別温泉。地獄谷と湯けむ…G9-21鞆の浦を歩く。常夜燈と対…G9-22高野山 半日モデルコース…G9-23比叡山延暦寺を歩く。根本…G9-24富岡製糸場 半日モデルコ…G10-01東寺 半日モデルコース。…G10-02醍醐寺を歩く。五重塔と三…G10-03上賀茂・下鴨を歩く。糺の…G10-04談山神社を歩く。多武峰の…G10-06竹田城跡。天空の城と雲海…G10-07淡路島。明石海峡大橋と花…G10-08びわ湖テラス。山上から望…G10-09紀三井寺と和歌浦を歩く。…G10-10香嵐渓。待月橋ともみじの…G10-11岡崎城 半日モデルコース…G10-12富士宮を歩く。浅間大社の…G10-13大井川・寸又峡。SLと夢…G10-14洞爺湖。火山と湖の絶景め…G10-15知床。世界自然遺産の原生…G10-16霧島神宮を歩く。朱の社殿…
POINT5

駿河湾の魚介と三代の暖簾、清水・相生町の海鮮居酒屋

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。清水の街は、港と暮らしがすぐ隣り合っている。駿河湾でその朝に揚がった魚が、河岸の市場から街なかの台所へと運ばれ、夜には居酒屋の品書きに姿を変える——そんな循環が、この港町には今も残っている。静岡鉄道の新清水駅から歩いてすぐ、相生町の通りに灯る赤い看板が、酒蔵 たから屋だ。創業からおよそ六十年、いまは三代目が暖簾を引き継ぎ、清水や由比の市場で見つけた魚を肴に出している。気取らない構えと、その日の海の都合で変わる一皿。仕事帰りに一人で立ち寄っても、気の置けない相手と長っ尻に飲んでも、ちょうどいい距離感で迎えてくれる。港町の夜を、魚と酒でゆっくりほどく場所として読んでいきたい。

POINT01
海鮮居酒屋 · 静岡市清水区相生町

駿河湾の海を皿にうつす、その日の刺身

たから屋の核にあるのは、駿河湾で揚がった魚をいかに鮮度よく出すか、という一点だ。清水と由比の市場に足を運んで仕入れる魚は、季節ごとに顔ぶれが変わる。たとえば透き通ったあおりイカの刺身は、糸のように細く引かれて皿いっぱいに並び、噛むほどに甘みが立つ。赤甘鯛のような上品な白身を、焼き物に仕立てて出すこともある。日本でも有数の深さを持つ駿河湾は、浅場の魚から深海の魚まで幅広く揚がる海で、清水の市場にはその日その日で違う魚が並ぶ。だからこの店の刺身は、いつ来ても同じではない。何が出るかはその日の海と相談、という献立の組み方そのものが、港町の居酒屋らしい醍醐味になっている。駿河湾は湾のすぐ沖が深く落ち込む地形で、季節ごとに揚がる魚が大きく入れ替わる。清水や由比の市場には、近海の地魚から、その時季ならではの旬の魚までが並び、仲買を通して街の店へ届く。たから屋がその市場に通って魚を選ぶというのは、つまり、その日の駿河湾の状態がそのまま皿に出るということだ。刺身に何を選ぶか迷ったら、その日のおすすめを尋ねてみるのがいい。仕入れの良かった魚を、いちばん向く切り方で出してくれるはずだ。

所在地静岡市清水区相生町2-30
魚介清水・由比の市場から仕入れる駿河湾の魚
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POINT02
通いたくなる理由 · 静岡市清水区相生町

三代で受け継いだ、その日次第の品書き

創業からおよそ六十年、たから屋はいま三代目の手に渡っている。品書きは固定されておらず、その日に揚がった魚や仕入れの具合で内容が動く。赤甘鯛の焼き物のように、火を通してこそ味が締まる魚は焼き物で、持ち味を生かす魚は刺身でと、同じ素材でも見せ方を変えてくる。だから前に来たときと違う一皿に出会えるし、今日は何があるかを確かめに来ること自体が、通う楽しみになる。茶碗蒸しやかき揚げといった、魚に寄り添う一品の用意もある。何代も同じ街で店を続けるというのは、その土地の海と客をよく知っているということだ。その積み重ねが、一皿ごとの安心感に表れている。

歴史創業約六十年・現在は三代目
品書き仕入れによって内容が変わる
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POINT03
メニューの輪郭 · 静岡市清水区相生町

刺身から焼き物、茶碗蒸しまで。魚を軸にした献立

献立は、駿河湾の魚を軸にしながら、軽くつまみたい日もじっくり腰を据えたい日も受け止められるように組まれている。刺身で魚そのものを味わうのもいいし、赤甘鯛のような白身を焼き物にしてもらえば、ご飯にも酒にも合う一皿になる。出汁の効いた茶碗蒸しは、冷たい刺身のあいだに挟むと箸休めにちょうどよく、魚介のかき揚げは香ばしさで酒を進ませる。お通しから始まり、刺身、焼き物、揚げ物、蒸し物と、和食の引き出しをひと通り押さえているので、何人かで来て少しずつ分け合えば、その日の海の幸をいろいろと試せる。固定された看板メニューを追いかける店ではないぶん、その日の黒板や店の人のすすめに耳を傾けると、迷わず良い魚にたどり着ける。最初の一品に迷ったら、まずはその日の刺身を頼み、海の様子をうかがってから次を組み立てるのが収まりがいい。料理の内容や値段は仕入れや時期で動くので、目当ての魚があるなら、訪れる前に電話で確かめておくと空振りがない。

料理刺身・焼き物・茶碗蒸し・かき揚げなど
使い方数人で少しずつ分け合うのに向く
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POINT04
店内の空気 · 静岡市清水区相生町

気の置けない相手と長居できる、港町の一軒

たから屋の居心地のよさは、構えの気取らなさにある。相生町の通りに灯る赤い看板と、魚をあしらった暖簾が目印で、扉をくぐると、長く街に根を張ってきた居酒屋らしい落ち着いた空気が迎えてくれる。一人で来て、その日の魚をつまみながら静かに飲むのにも向くし、気の置けない仲間と魚を分け合って長っ尻に過ごすのにも合う。三代続く店ならではの、客との距離の近さがあるから、初めてでも構えずに入っていける。仕事帰りに一杯ひっかけて帰る夜にも、誰かと約束して港町の魚を囲む夜にも、それぞれの過ごし方で居場所をつくれるのがいい。にぎやかすぎず、かといってよそよそしくもない、ちょうどいい温度。そういう塩梅の店は、街にひとつあると重宝する。混み合う週末や仕事帰りの時間帯は席が埋まりやすいので、人数がまとまるなら電話を入れておくと落ち着いて飲める。

目印相生町の通り・赤い看板と魚の暖簾
向く人一人客・仲間との少人数
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POINT05
アクセス・立地 · 静岡市清水区相生町

新清水から歩いてすぐ、清水港の街歩きとあわせて

店があるのは、静岡市清水区の相生町。静岡鉄道の新清水駅から歩いてすぐの距離で、JR清水駅からも徒歩圏にあるので、電車で向かいやすい立地だ。清水は、富士山を望む港と水産の街として知られ、駅の東側へ抜ければ清水港や河岸の市、ベイエリアのドリームプラザまでが徒歩や短いバスでつながっている。清水港のベイエリアには、観光船や寿司の店が集まるドリームプラザ、地元の海産物が手に入る河岸の市があり、休日の昼間をつぶすには事欠かない。サッカーの街としても知られ、試合のある日は街全体が色めき立つ。昼に港や市場をめぐって魚の街の空気に触れ、夜はたから屋で駿河湾の魚を肴に一杯、という一日の組み立てがしやすい。営業は夕方の十七時からの夜営業が中心で、木曜が休みの目安になっている。ただし休みは変わることもあるため、確実に訪ねたい日は事前に営業の予定を確かめておきたい。車で向かう場合は、店専用の駐車場の有無を含めて、周辺のコインパーキングを当てにしておくと慌てずに済む。港町の夜を締めくくる一軒として、街歩きの終点に据えやすい場所にある。

最寄り新清水駅から徒歩すぐ/JR清水駅も徒歩圏
営業17:00〜/木曜休みが目安(変更あり)
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編集部のひとこと
港と暮らしが隣り合う清水で、三代にわたって駿河湾の魚と向き合ってきた一軒。その日の海次第で変わる刺身や焼き物を、気取らない温度で出してくれる。魚の街の夜を、肩の力を抜いて飲みたくなったときに思い出したい場所だ。
マチノワ編集部
編集後記

最後に、歩き方

夕方の十七時に暖簾が出るこの店は、清水の街歩きの締めにちょうどいい時間から動き出す。昼のうちに清水港や河岸の市で魚の街の空気を吸い、日が傾いたころに新清水まで戻ってくる——そんな半日の終点に据えると、一日がきれいにつながる。一人なら、その日のおすすめの刺身を一品もらい、酒を合わせながら海の話を聞くだけでも十分に満ちる。気の置けない相手と来るなら、刺身と焼き物、揚げ物を少しずつ分け合って、長っ尻にやるのがこの店らしい。所要は、軽く飲むなら一時間ほど、腰を据えて魚を堪能するなら二時間ほどを見ておくといい。予算は夜で五千円前後が目安になるが、その日の魚や頼む品で動くので、気になるなら席についたときに尋ねておくと安心だ。週末や仕事帰りの時間帯は混みやすいから、人数がまとまる日は電話を一本入れてから向かいたい。木曜の休みも、念のため確かめておくと無駄足にならない。日が落ちてからの相生町は、駅前の人通りからは一歩引いた静けさがあり、魚をあしらった赤い看板の灯りがよく目立つ。清水まで足を延ばすなら、富士山を望む港の景色もあわせて楽しみたいところだ。清水で魚と酒を、と思った夜の行き先に、この一軒を加えてみてほしい。

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