大将がひとりで組み立てる、コース主軸の割烹
賢太朗の核は、大将がひとりでカウンターの内側に立ち、コース仕立てで料理を組み上げていく構えそのものにある。看板の「あそび割烹コース」は全9品で、季節の魚介と野菜を中心に据えながら、低温調理や真空調理といった現代的な技法も取り入れて仕上げる流れだ。割烹と聞くと敷居が高く感じられるが、ひとりの料理人が一品ずつ目の前で皿を整えていく構成なので、カウンターに座れば自然と料理の進行に巻き込まれていく。何が出てくるのかを大将に任せて時間を預ける、その「お任せのリズム」を体験するための場所として、賢太朗は読み取れる一軒だ。コース主軸である以上、訪問は腰を据えて二時間前後を確保したい。一品ごとの間合いと会話の余白を含めて味わう構成だから、急ぎ足では本来の良さが見えにくい。料理の細部は時期で動く可能性があるので、訪問前に必ず公式情報を確認したい。