マチノワ · 2026年 春号
2026-08-17
HIDA APPO TAKAYAMA

高山・上三之町の町家で。
飛騨あっぽの飛騨牛手巻き寿司と、飛騨高山中華そば

高山の古い町並みは、朝から人が流れる。上三之町、上二之町、下三之町——格子戸と黒い板壁が続く一帯は三町伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けた区画で、通りそのものが目的地になっている。ただ、この街を歩いていると困ることが一つある。手に持って食べられるものは多いのに、腰を下ろして食べられる場所は意外と限られるのだ。飛騨あっぽは、その両方を持っている。上三之町五十二、間口の奥へ通路が細く伸びる町家の造りで、うなぎの寝床と呼ばれる形式そのままに、通りから数歩入った先に客席が現れる。品書きに並ぶのは飛騨牛手巻き寿司と飛騨高山中華そば。持ち帰って歩きながら食べてもいいし、座敷に上がって器で食べてもいい。高山駅から徒歩十三分ほど、古い町並みの散策とまったく同じ動線の上にある一軒だ。

副題

高山市上三之町の中華そば・手巻き寿司/街歩きの途中の昼ごはん

編集

マチノワ編集部

高山市上三之町の中華そば・手巻き寿司/街歩きの途中の昼ごはん✦編集部厳選✦HIDA APPO TAKAYAMA✦5 POINTS✦2026年 春号✦高山市上三之町の中華そば・手巻き寿司/街歩きの途中の昼ごはん✦編集部厳選✦HIDA APPO TAKAYAMA✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

高山市上三之町の中華そば・手巻き寿司/街歩きの途中の昼ごはん。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。高山の古い町並みは、朝から人が流れる。上三之町、上二之町、下三之町——格子戸と黒い板壁が続く一帯は三町伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けた区画で、通りそのものが目的地になっている。ただ、この街を歩いていると困ることが一つある。手に持って食べられるものは多いのに、腰を下ろして食べられる場所は意外と限られるのだ。飛騨あっぽは、その両方を持っている。上三之町五十二、間口の奥へ通路が細く伸びる町家の造りで、うなぎの寝床と呼ばれる形式そのままに、通りから数歩入った先に客席が現れる。品書きに並ぶのは飛騨牛手巻き寿司と飛騨高山中華そば。持ち帰って歩きながら食べてもいいし、座敷に上がって器で食べてもいい。高山駅から徒歩十三分ほど、古い町並みの散策とまったく同じ動線の上にある一軒だ。

POINT01
飛騨牛手巻き寿司 · 高山市上三之町

円錐の海苔に飛騨牛。味付けを三種から選ぶ手巻き寿司

飛騨あっぽの中心にあるのは飛騨牛手巻き寿司だ。円錐に巻いた海苔の中に酢飯を敷き、その上に飛騨牛をのせる。名前は寿司だが、食べる感覚としては寿司と肉料理の中間にある。片手で持てて歩きながらでも食べられる形をしていながら、中身は牛肉である。街歩きの途中で立ち寄って、これ一本で肉をちゃんと食べたという実感が残るのは、この形式ならではだ。選べるのは味付けで、特製ダレ、塩コショウ、ねぎ塩だれの三種類から指定する。これが地味に効く。タレは甘辛さで酢飯と噛み合う方向、塩コショウは肉の脂と香りをそのまま前に出す方向、ねぎ塩だれはその中間で後味を軽く抜く方向。同じ具材でも、選んだ味で食べ心地がはっきり変わる。二人で来て別々の味を頼めば、それだけで食べ比べが成立してしまう。サイズはシングルとダブルの二段階。軽く一本つまんで次の店へ向かうならシングル、これで昼を済ませるつもりならダブル、という選び方になる。街歩きに挟むのか、ここで食事にするのか——同じ一品で両方に対応できるのは、古い町並みの中心に立つ店として実によく考えられた設計だと思う。なお価格は改定されることがあるので、店頭の掲示か電話で確かめてから注文したい。

看板飛騨牛手巻き寿司。シングルとダブルの二サイズ
味付け特製ダレ/塩コショウ/ねぎ塩だれ の三種から選択
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POINT02
利用形態・建物 · 高山市上三之町

持って歩くか、奥へ入るか。町家の通路が空気を切り替える

古い町並みで食べ歩きをしようとすると、たいてい立ち食いになる。串を持ったまま人混みを避け、ゴミ箱を探し、手を拭くものを探す。楽しいけれど、三品も続けると少し疲れてくる。飛騨あっぽが他と違うのは、その日の気分でどちらにも振れることだ。テイクアウトして通りへ出てもいいし、そのまま奥へ入って腰を下ろしてもいい。建物は町家の造りで、間口が狭く奥に深い。入口から細い通路が伸びていて、そこを進んだ先に客席がある。通りの喧騒が一枚奥に引くので、同じ上三之町にいながら空気がすっと切り替わる。荷物を置いて、上着を脱いで、ようやく一息つける。街歩きの途中に、この数分が効く。飲み物にビールと地酒が用意されているのも、この店の性格をよく表している。歩き疲れた午後に一杯、という使い方が成立するということだ。観光の順路のど真ん中にありながら、通過するだけの店になっていない。旅程の中で、ここだけ速度が落ちる。それがこの一軒の役割だと考えていい。取り扱いや提供の形は時期で動くことがあるため、訪れる前に電話で確認しておくと確実だ。

使い方店内飲食とテイクアウトの両方に対応。食べ歩きにも使える
建物うなぎの寝床型の町家。通路の奥に客席、古民家を改装した内装
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POINT03
品書き・時間帯 · 高山市

中華そばは昼まで、串焼きとビールは夕方まで

品書きは手巻き寿司だけではない。飛騨高山中華そばと飛騨牛串焼きが並ぶ。飛騨高山のラーメンは、細い縮れ麺と醤油ベースの澄んだスープを合わせるのが土地の型として知られていて、この街を訪れたなら一度は通る料理だ。手巻き寿司で肉を、中華そばで汁を。冬の高山はよく冷えるので、温かい一杯があるかどうかは体感でかなり違う。ただし、麺類は提供が昼過ぎまでという案内が出ている。十五時を回るとラーメンは締まり、手巻き寿司や串焼きに軸が移る時間帯がある。中華そば目当てで組むなら、午前中から昼過ぎまでに入っておきたい。逆に夕方近くに寄るなら、手巻き寿司と串焼き、そこにビールか地酒という組み立てになる。串焼きも飛騨牛だ。同じ素材を、酢飯に合わせた形と、火を入れて串で食べる形の二通りで試せる。旅程が詰まっていて一軒しか寄れない日ほど、この選択肢の幅はありがたい。提供時間や品揃えは日によって変わることがあるので、どうしても食べたいものがある日は先に問い合わせておくのが賢い。

麺飛騨高山中華そば。提供は昼過ぎまでの案内あり
その他飛騨牛串焼き、ビール・地酒。予算帯は千円台が目安
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POINT04
座席・空間 · 高山市上三之町

座敷とテーブルで二十八席。靴を脱げる席があるという強み

席数は二十八。座敷とテーブル席の両方があり、人数と目的で選べる。個室はなく、全席禁煙。予約は受け付けている。座敷があるというのは、古い町並みで食事をする上で意外に大きい。子ども連れなら靴を脱いで上がれる席のほうが落ち着くし、土産の袋が増えていく旅行者にとっても、足元に荷物を置ける場所があるのは助かる。テーブル席は逆に、短時間で切り上げて次へ向かいたいときに向く。空間は古民家を改装したもので、通りに面した町並みの表情が、そのまま内側にも続いている。観光地の食事処にありがちな、外だけ和風で中は無味乾燥という断絶がない。腰を下ろした瞬間に、まだ古い町並みの中にいるという感覚が保たれる。誰と行きやすいかで言えば、一人でも二人でも、家族連れでも無理なく収まる規模だ。ただし二十八席は決して多くない。古い町並みが最も混む昼どき、それも週末や連休であれば待ちが出ることは想定しておきたい。人数がまとまっているなら、先に一本電話を入れておくほうが当日の動きは軽くなる。席の状況は日によって変わるため、団体での利用はあらかじめ相談しておくと確実だ。

席二十八席。座敷とテーブル席、個室なし、全席禁煙
予約予約可。混雑する昼どきや団体は事前連絡が安心
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POINT05
アクセス・街歩き · 高山市上三之町

高山駅から徒歩十三分。朝市から陣屋へ抜ける線の上に立つ

住所は高山市上三之町五十二。高山駅から徒歩でおよそ十三分から十五分、距離にして七百メートルほどの位置にある。宮川を渡って古い町並みへ入り、上三之町の通りを進めば着く。この道のり自体が高山観光の順路なので、店を目指して歩くこと自体が街歩きとして成立する。上三之町を含む一帯は、三町伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けた区画だ。江戸期からの町家が連なり、酒蔵の杉玉、格子戸、用水の水音——歩くだけで時間が溶けていく。飛騨あっぽはその中心線の上にあるので、宮川朝市から流れてきてここで昼を取り、そのあと高山陣屋や櫻山八幡宮の方面へ抜ける、という一日がきれいに通る。注意点が二つある。ひとつは駐車場がないこと。車で来るなら周辺のコインパーキングに入れて歩くことになるが、古い町並み周辺は道が狭く一方通行も多いので、少し離れた場所に停めて歩くつもりで計画したほうが結局早い。もうひとつは支払いが現金のみであること。キャッシュレス前提で旅をしていると、ここで足止めを食う。この街を歩く日は現金を持っておきたい。営業時間や定休は変わることがあるため、来店前に最新情報を確かめておきたい。

アクセス高山駅から徒歩約13〜15分(約716m)。古い町並みの中
支払い・駐車現金のみ。専用駐車場なし、周辺のコインパーキングを利用
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編集部のひとこと
上三之町を歩いていると、すれ違う人がみんな何かを手に持っている。飛騨あっぽはその流れの中にありながら、座って食べるという選択肢を残している一軒だ。手巻き寿司を片手に通りへ出るか、通路の奥で一杯やるか。同じ暖簾で二通りの高山が選べる。そこが、この店の使いどころだと思う。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

高山駅の改札を出て古い町並みへ向かう十数分は、すでにこの店への助走だと思っていい。宮川を渡り、格子戸の続く通りに入り、人の流れに乗って上三之町を進む。飛騨あっぽはその途中にあるので、目的地としてわざわざ寄り道を組む必要がない。一人で来るなら、テーブル席で中華そばを一杯。麺は昼過ぎで締まるので、午前中に朝市か高山陣屋を回ってから、正午前後にここへ入るのが収まりがいい。所要は三十分から四十分といったところだ。二人以上なら、手巻き寿司の味付けを分けて頼むのが楽しい。特製ダレと塩コショウを一本ずつ取って交換すれば、それだけで話が転がる。ビールか地酒を挟むなら、座敷のほうが落ち着く。予算は一人千円台に収まる価格帯なので、旅程の食事としても組み込みやすい。家族連れは座敷を狙いたい。ただし二十八席なので、週末や連休の昼は待ちを想定して、時間をずらすか先に連絡を入れておくと動きやすい。持って歩く日は、テイクアウトにしてそのまま通りへ出ればいい。用意しておくものは手を拭くものと、現金。この二つさえあれば、あとは古い町並みが勝手に舞台になってくれる。メニューや営業時間は時期で動くので、出発前に一度だけ確認しておきたい。

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