マチノワ · 2026年 春号
2026-08-28
YUMIN YOTSUYA HACHIOJI

四谷町の遊民、
ユーミンが流れる座敷。

遊民と書いて、ユーミン。松任谷由実の大ファンだったオーナー夫婦が、その名を屋号にした居酒屋である。高尾街道沿い、西東京バスの四谷並木橋停留所を降りてすぐ。JR中央線の西八王子駅から北へバスで十五分ほど走った先に、この店はある。暖簾を上げたのは1990年11月30日。以来、三十年以上のあいだ同じ場所で灯りをつけ続けてきた。店内に流れる曲はユーミンだけ。カウンターの背後には生簀があり、壁は手書きの短冊で埋まり、入口では信楽焼のたぬきが客を迎える。座敷は襖で仕切れば半個室になり、五十人の宴会が収まる。八王子の郊外で、クラス会も、誕生会も、仕事帰りの一杯も引き受けてきた一軒だ。

副題

居酒屋 / 八王子市四谷町 / 宴会と仲間内の夜

編集

マチノワ編集部

居酒屋 / 八王子市四谷町 / 宴会と仲間内の夜✦編集部厳選✦YUMIN YOTSUYA HACHIOJI✦5 POINTS✦2026年 春号✦居酒屋 / 八王子市四谷町 / 宴会と仲間内の夜✦編集部厳選✦YUMIN YOTSUYA HACHIOJI✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

居酒屋。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。遊民と書いて、ユーミン。松任谷由実の大ファンだったオーナー夫婦が、その名を屋号にした居酒屋である。高尾街道沿い、西東京バスの四谷並木橋停留所を降りてすぐ。JR中央線の西八王子駅から北へバスで十五分ほど走った先に、この店はある。暖簾を上げたのは1990年11月30日。以来、三十年以上のあいだ同じ場所で灯りをつけ続けてきた。店内に流れる曲はユーミンだけ。カウンターの背後には生簀があり、壁は手書きの短冊で埋まり、入口では信楽焼のたぬきが客を迎える。座敷は襖で仕切れば半個室になり、五十人の宴会が収まる。八王子の郊外で、クラス会も、誕生会も、仕事帰りの一杯も引き受けてきた一軒だ。

POINT01
居酒屋・刺身 · 八王子市

生簀の貝と、数え切れない品書き

カウンターの奥に生簀がある。ガラスの向こうで伊勢エビが動き、はまぐり、サザエ、殻付つぶ貝、牡蠣が並ぶ。値札はその上に吊るされた短冊に手書きで、その日の値段が下がっている。水槽を置く居酒屋は珍しくないが、遊民の場合はそれが品書きそのものとして機能している。刺身は盛り合わせが三点・五点・七点と選べて1,620円から。十月から四月にはずわいがにの皿盛りが加わり、まぐろのかまトロ、馬刺し、牛の炙りユッケ、千枚刺しまで並ぶ。刺身だけで三十種類という数え方を店はしている。そして品書きはそこで終わらない。揚げ物、串焼き、焼き物、サラダ、チーズ料理、バター料理、納豆料理、鉄板料理——地元の情報サイトが数えたところ、総数は237種類を超えていた。串焼きは百八円から始まり、天ぷらの盛り合わせが1,059円。ジャンボ牛ステーキ串や豚カルビ串のような、腹に来る一本も用意されている。何年通えば全部食べ切れるのかと書かれたのも、無理はない。

刺身盛り合わせ3・5・7点盛り 1,620円〜 / ずわいがに皿盛り(10月〜4月)950円〜 / 馬刺身・牛の炙りユッケ・千枚刺し
品書き揚げ物・串焼き・焼き物・サラダ・チーズ料理・バター料理・納豆料理・鉄板料理など総数237種類以上(八王子ジャーニー調べ)
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POINT02
店の成り立ち · 八王子市

屋号も、BGMも、月替わりのカクテルもユーミン

屋号の由来は松任谷由実である。オーナー夫婦が根っからのユーミンファンで、店名をそこから取った。ただの名前借りではない。店内で流れるBGMはユーミンの曲だけだと地元メディアは書いている。加えて、ユーミンカクテルという一杯が六百円で用意されていて、これが毎月、楽曲のイメージに合わせて中身が変わる。恋人はサンタクロース、ひこうき雲——そういう名前が月替わりで札に載る。飲みに来て、曲を聴いて、その曲の一杯を頼む。もうひとつ、この店には外に招福堂という小さな祠がある。店の近くで交通事故に遭う猫が絶えなかったことから、豪徳寺にちなんで設けたものだと公式サイトに記されている。招福観音は家内安全、営業繁盛、心願成就の御利益があるという。さらにオーナーは、沖縄の職人が手掛ける琉球ホタル石のガラス工芸を直接仕入れ、アクセサリーに仕立てて店で扱っている。黒いガラスに青や水色が光を返す細工だ。居酒屋の看板の裏側に、これだけの話が積まれている店はそう多くない。

屋号オーナー夫婦が松任谷由実のファンで命名。BGMはユーミンの曲 / ユーミンカクテル600円は毎月楽曲イメージで内容が替わる
店の外豪徳寺にちなんだ招福堂を設置(近隣で事故に遭う猫への想いから)/ 沖縄の職人による琉球ホタル石のアクセサリーを取り扱い
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POINT03
メニュー・ドリンク · 八王子市

鍋の並びと、時間で選ぶ飲み放題

鍋がしっかりしている店だ。もつ鍋はカレー・塩・味噌の三択で972円、水炊きや豆腐チゲ鍋も同じ値段で並ぶ。屋号を冠した遊民鍋、それに肉鍋、鶏鍋、カキ鍋、すき焼きが1,080円から。海鮮チゲ鍋・寄せ鍋・ちゃんこ鍋は1,404円から。冬に人数で囲むつもりなら、まずこの並びを見ればいい。締めの品も幅があって、雑炊や辛茶漬け、遊民チャーハン、鍋焼きうどん、五目かた焼きそばまで揃う。飲み放題は時間で選ぶ形になっている。二時間が1,500円と2,000円、三時間が2,500円と3,000円、延長は三十分五百円。安いほうは生ビール・サワー・日本酒の八重寿・ノンアルコールビールが軸で、上のプランになると焼酎やウィスキーが加わる。飲み放題を付けない宴会でも、乾杯の生ビールかサワー、ソフトドリンクは付いてくる。そしてこの店は毎月イベントを回している。二月は日本酒が全品二割引き、四月と五月は千円で六十分の飲み放題、十一月は720mlボトルが全品半額——という具合だ。内容は月ごとに動くので、日取りが決まったら店に一報を入れて、その月に何をやっているか確かめておくと得をする。

鍋もつ鍋(カレー・塩・味噌)/ 水炊き / 豆腐チゲ鍋 各972円、遊民鍋・肉鍋・鶏鍋・カキ鍋・すき焼き 1,080円〜、海鮮チゲ・寄せ鍋・ちゃんこ鍋 1,404円〜
飲み放題2時間 1,500円/2,000円、3時間 2,500円/3,000円、延長30分500円 / 飲み放題なしの宴会でも乾杯のドリンクが付く
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POINT04
店内空間・利用シーン · 八王子市

70席、襖で仕切る座敷。昭和が積み上がった店内

総席数は70席。カウンターがあり、複数の座敷がある。宴会は着席で最大50名、貸切なら70〜80名まで受けるとしており、座敷は襖で仕切れば40〜50名対応の半個室になる。掘りごたつ式の大座敷はクラス会や誕生会でよく使われてきた席だ。八王子の郊外で、この規模をひと続きに引き受けられる居酒屋は多くない。内装は昭和の空気をそのまま残している。天井から白い提灯が下がり、壁は手書きの品書きとポスターで埋まり、樽の焼酎が並ぶ。棚にはシーサーや招き猫、大黒様が置かれ、柱には千客万来の木札が掛かる。入口の信楽焼のたぬきに始まって、懐かしいゲーム機まであるという。狙って作り込んだ内装というより、三十年分の物が積み上がった結果こうなった、という見え方をする店だ。少人数の日はカウンターで足りる。十二席あるので、一人でも二人でも収まりがいい。逆に大人数の日は座敷の押さえが必要になる。五十人規模の宴会が入る日もあるため、日取りが決まった時点で電話をしておきたい。

席総席数70席(カウンター12席)/ 複数の座敷・掘りごたつ式の大座敷あり / 襖で仕切る40〜50名対応の座敷半個室
宴会着席で最大50名、貸切は70〜80名まで / 座敷は先約で埋まることがあるため事前連絡が確実
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POINT05
アクセス・使い方 · 八王子市

高尾街道沿い、四谷並木橋から徒歩1分。足の決め方

場所は高尾街道沿い、八王子市四谷町665。JR中央線の西八王子駅からバスで15分ほど、西東京バスの四谷並木橋停留所で降りれば徒歩1分である。駅から歩いて向かう距離ではないので、行き方は先に決めておいたほうがいい。バスか、タクシーか、車か。車で向かう場合は専用駐車場が7台分ある。街道沿いで停められるのは大きく、郊外の居酒屋としてはここが効いてくる。ただし飲む人数が多い日は7台がすぐ埋まる。運転役を立てるのか、乗り合わせるのか、帰りの足をどうするのかは、出発する前に話をまとめておきたい。営業は18時から24時、ラストオーダーは23時。定休日は月曜日。なお昼の営業については、公式サイトに載っているのは夜の時間帯だけで、地元メディアには11時半からのランチとして紹介されている。昼に向かうつもりなら、電話で確かめてから動くのが確実だ。公式サイトのコンセプトページには、西八王子と四谷町をもっと盛り上げていきたい、という一文がある。駅前の便利な立地ではなく、あえてこの街道沿いで三十年以上店を続けてきた理由が、そこに書かれている。

所在地・アクセス東京都八王子市四谷町665(高尾街道沿い)/ JR中央線 西八王子駅からバス15分、西東京バス 四谷並木橋停留所 徒歩1分 / 専用駐車場7台
営業18:00〜24:00(L.O.23:00)/ 定休日 月曜 / 昼営業の有無は媒体で記載が分かれるため電話で確認を
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編集部のひとこと
ユーミンの曲だけが流れる座敷で、生簀から選んだ貝を頼み、鍋を囲む。1990年から四谷町で灯りをつけ続けてきた遊民は、八王子の郊外で宴会をずっと引き受けてきた店だ。237種類の品書きを前にすると、一度で決めてしまうのが惜しくなる。何度か通う前提で付き合いたい一軒。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

四谷並木橋のバス停で降りると、高尾街道を走る車の音がまだ耳に残っている。そこから一分。暖簾をくぐった途端に音楽が切り替わってユーミンになる——この落差が、遊民という店の入口だ。少人数で来るならカウンターがいい。十二席あるので、二人でも一人でも入りやすい。座ったらまず生簀を眺めて、短冊に出ているその日の値段を見る。貝でいくか、刺身でいくか。そこから串焼きを何本か足して、揚げ出しもちや島らっきょうで間を持たせれば、二時間はすぐに経つ。二時間の飲み放題が1,500円からなので、一人四千円前後を見ておけば予算は大きく外れない。人数が増える日は組み立てが変わる。座敷を押さえ、鍋を軸にして、飲み放題を付ける。もつ鍋972円、遊民鍋1,080円からという値段だから、頭数が増えても計算が立つ。五十人の宴会まで受ける規模なので、クラス会も職場の会も一軒で完結する。ただし座敷は先約で埋まる日があるため、日が決まった時点で電話を入れておきたい。車で行くなら駐車場は7台。飲む人が多い日は、足の相談を先に済ませておくこと。月替わりのイベントは内容が毎月動くので、その月に何をやっているかは店に直接聞くのが早い。

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