マチノワ · 2026年 春号
2026-09-11
SUKITEI YOSHITORA

川越の本町通りで149年、A5黒毛和牛の技を味わう。埼玉県初のすき焼き店

川越の中心街・本町通りは、古い建物と新しい店が混在する界隈だ。蔵造りの町並みとは違う、商人町としての顔をここに見ることができる。その本町通りを元町一丁目方面に歩むと、1877年創業のすき亭吉寅が立つ。埼玉県初のすき焼き店として149年の歴史を重ねてきた一軒である。A5黒毛和牛をタレで調理するすき焼き、秘伝のゴマダレで味わうしゃぶしゃぶ——それらは単なる料理ではなく、この街の食文化を象徴する存在だ。昭和から平成へ、令和へと移る時代の中で、この店は変わらぬ品質でテーブルに素材の価値を届けてきた。この一軒が、川越という街の中でどのような役割を果たしているのか。その本質に、この記事を通じて触れてもらいたい。

副題

すき焼き・しゃぶしゃぶ / 埼玉県川越市 / ランチ・ディナー

編集

マチノワ編集部

すき焼き・しゃぶしゃぶ / 埼玉県川越市 / ランチ・ディナー✦編集部厳選✦SUKITEI YOSHITORA✦5 POINTS✦2026年 春号✦すき焼き・しゃぶしゃぶ / 埼玉県川越市 / ランチ・ディナー✦編集部厳選✦SUKITEI YOSHITORA✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

すき焼き・しゃぶしゃぶ。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。川越の中心街・本町通りは、古い建物と新しい店が混在する界隈だ。蔵造りの町並みとは違う、商人町としての顔をここに見ることができる。その本町通りを元町一丁目方面に歩むと、1877年創業のすき亭吉寅が立つ。埼玉県初のすき焼き店として149年の歴史を重ねてきた一軒である。A5黒毛和牛をタレで調理するすき焼き、秘伝のゴマダレで味わうしゃぶしゃぶ——それらは単なる料理ではなく、この街の食文化を象徴する存在だ。昭和から平成へ、令和へと移る時代の中で、この店は変わらぬ品質でテーブルに素材の価値を届けてきた。この一軒が、川越という街の中でどのような役割を果たしているのか。その本質に、この記事を通じて触れてもらいたい。

POINT01
すき焼き・素材 · 川越市元町一丁目

A5黒毛和牛という素材の選択、すき焼きの本質

すき亭吉寅が大切にしているのは、A5黒毛和牛という素材の選択である。日本国内で最高等級に格付けされた和牛を、タレで調理する——それは、素材が持つ本来の味わいに、シンプルな加熱と甘辛いタレを組み合わせることで、より高い次元の食体験を生み出そうとする考え方だ。この店のすき焼きを口にすると、まず感じるのは牛肉の質感と旨味の強さである。脂身の部位であれば、その脂が時間とともに甘く変わっていく様子が感じられ、赤身であれば、肉本来の深い風味が引き出される。そうした素材の変化は、決して「焼きすぎ」や「調理による加工」ではなく、素材そのものが持つポテンシャルを引き出す過程なのだ。シャリアスや霜降りの加減、部位ごとの焼き加減の調整——149年の歴史の中で培われた、職人の経験による判断が、この店のすき焼きを支えている。新しい部位や新しい調理法をひたすら追い求める現代の飲食文化の中で、この店は「A5という枠の中での素材の質を極める」という、シンプルながら最も本質的なアプローチを貫いている。その結果として生まれるのが、素材の価値がそのまま食体験になる、という完成度の高いすき焼きなのだ。

メイン素材A5黒毛和牛・各部位
調理法伝統的なタレを使ったすき焼き
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POINT02
歴史・文化 · 川越市元町一丁目

1877年創業、埼玉県初のすき焼き店という地位と継承

明治10年の1877年、すき亭吉寅は埼玉県初のすき焼き店として創業した。149年という歴史は、単なる「古い店」という意味ではなく、時代の変遷の中で「すき焼きという食文化」がいかに定着し、愛され続けてきたかを象徴している。江戸時代の終わりから明治という転換期に、欧米の肉食文化と日本の調理技法が出会う中で、すき焼きは生まれた。その発祥から数えると、実はそれほど古い料理ではない。にもかかわらず、すき亭吉寅がこの地に根を張り、149年も営み続けることができたのは、時代ごとの客が「この店でなければならない」という価値を見いだしてきたからに他ならない。大正の大火、昭和の経済成長、平成の飲食業界の変化、令和のデジタル化——あらゆる時代の波の中で、この店は変わらぬ品質を貫いてきた。そうした営みは、単なる「老舗」というラベルではなく、「変わらぬ基準を持つ店」という信頼感を生み出している。川越という街そのものが古い歴史を大切にしながら現在を生きているのと同様に、すき亭吉寅も街の時間軸の中に立つ一軒だ。埼玉県内のすき焼き店の中で、最初の一軒として創業した店。その事実は、飲食文化の歴史の中では小さな一行かもしれないが、この街で食事をする人にとっては大きな安心感に変わる。

創業年明治10年(1877年)
歴史埼玉県初のすき焼き店・149年営業
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POINT03
すき焼き・しゃぶしゃぶ・調味 · 川越市元町一丁目

秘伝のゴマダレとしゃぶしゃぶ、メニュー構成の豊かさ

すき亭吉寅のメニューは、すき焼きだけに留まらない。同じA5黒毛和牛を使ったしゃぶしゃぶの提供も行われている。特徴は、その秘伝のゴマダレだ。ゴマの香りと、微かな甘さ、そして塩辛さのバランスが、素材の旨味を引き出すのではなく、むしろ新しい層の味わいを加える。つまり、すき焼きではタレが「素材を活かす」役割を果たすのに対し、しゃぶしゃぶのゴマダレは「素材と調味が対等に存在する」という独特なポジションにある。牛肉をしゃぶしゃぶでくぐらせ、ゴマダレに浸すという行為は、食べ手が素材と調味の関係性を主体的に操作する体験になる。ゴマダレを濃くつけるのか、軽くつけるのか、あるいは大根おろしと合わせるのか。そうした選択を通じて、その日その瞬間の食べ手の好みが反映される。ランチタイムは比較的リーズナブルなすき焼きコース、ディナータイムはしゃぶしゃぶと組み合わせたコースという構成になっていることが多い。ただし、営業時間や提供メニュー、価格帯は変わる可能性があるため、来店前に公式サイトや電話で確認しておくと安心だ。149年の歴史の中で、この店のメニュー構成がいかに工夫されてきたかは、一つのタレ、一つのコース構成に集約されている。

メニューすき焼き・しゃぶしゃぶ
特色秘伝のゴマダレ・季節のコース
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POINT04
店舗・空間 · 川越市元町一丁目

料亭部と レストラン部、二つの食事空間の選択肢

すき亭吉寅の建物は、大きく二つの部分から成り立っている。一つは、明治時代の別棟として立つ料亭部である。畳敷きの個室、あるいは半個室の座卓席。そこは、家族や親友との時間を、より静かに、より丁寧に過ごすための空間だ。照明も控えめで、外の騒音も入り込みにくい。そうした環境の中で、すき焼きの食事に向き合う行為は、単なる食事ではなく、時間の質そのものが変わるような体験になる。もう一つは、レストラン部である。こちらは、より近代的な設えになっており、テーブル席が主体だ。カウンター席も用意されているため、一人で来店し、店員との会話を楽しみながら食事をするということも可能だ。また、複数人の客層にも対応しやすく、友人グループや会社の同僚との食事にも向いている。どちらの空間を選ぶかによって、すき亭吉寅での体験の質は大きく変わる。記念日や特別な時間を過ごしたいのであれば料亭部、普段のランチや気軽なディナーであればレストラン部——そうした選択が自然に生まれる。建物の時代性の違いそのものが、利用者の選択肢を増やし、多様な客層を迎え入れる設計になっているのだ。

座席構成料亭部(個室・半個室)、レストラン部(テーブル・カウンター)
空間特性明治時代別棟・近代レストラン・用途に応じた選択可
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POINT05
アクセス・街歩き · 川越市元町一丁目

本川越駅からのアクセスと、川越街歩きの中での立ち位置

すき亭吉寅の最寄り駅は本川越駅である。駅から店舗までは、徒歩でおよそ5分程度だ。その5分の道のりは、川越という街を知る上で非常に重要な区間である。駅前の商業地から次第に静かな飲食店街へと移り行く。蔵造りのエリアではなく、本町通り周辺の「商人町・川越」の顔が感じられるエリアだ。古い建物が大切に使われ、新しい店も共存する。その混在する街の風景の中に、すき亭吉寅は立つ。駅から店までの5分間に、川越という街の時間の層を感じることができるのだ。ランチタイムは11時30分から15時までの営業となることが多い。そのため、川越での街歩きを午前中に行い、ランチタイムの一軒として立ち寄るという使い方が自然に考えられる。蔵造りのエリアで観光地としての川越を見た後、本町通りでこの街の商人町としての側面に触れる。最後に、すき亭吉寅で149年の時間が凝縮された食事を味わう——そうした動線を組むことで、川越という街の多面性を感じることができるのだ。駐車場についても、店舗に併設されていないため、公開駐車場の利用が必要になる。本川越駅周辺には複数の有料駐車施設があるため、車での来店も十分に可能だ。ただし、事前に正確な駐車情報を公式サイトや電話(049-222-0102)で確認しておくと、より安心して来店できるだろう。営業時間や定休日、メニュー構成は季節や営業方針によって変わる可能性がある。特にディナーの提供有無や、団体予約の対応については、来店の一週間前には電話で確認を入れておくことをお勧めする。149年間、川越という街の中で営まれてきたすき亭吉寅。その歴史の層を、食事という体験を通じて感じる——それこそが、この店での本質的な使い方なのだ。

アクセス本川越駅より徒歩5分
駐車近隣有料駐車施設利用・公式確認推奨
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編集部のひとこと
すき亭吉寅は、川越の本町通りに立つ、149年のすき焼き店だ。埼玉県初という歴史的な一軒であり、同時に、現在も変わらぬ品質でA5黒毛和牛をテーブルに届けている。明治から令和へと続く時間の中で、この店は何が変わり、何が変わらなかったのか。その答えは、一口のすき焼きの中にある。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

本町通りを元町一丁目方面に歩むと、149年の時間が凝結した一軒に出会う。すき亭吉寅は、明治10年の創業以来、A5黒毛和牛という素材と、シンプルなタレという調味の組み合わせに向き合い続けてきた。その営みは、決して新しい調理法の追求ではなく、素材と調味の基本的な関係性を極める道のりだったのだ。料亭部の畳敷きの空間で、あるいはレストラン部のテーブル席で、どちらを選んでも、その日の自分たちの気分や時間軸に合った食事体験ができる。それは、建物そのものが二つの時代層を抱えているからこそ実現している。ランチタイムに立ち寄る場合、蔵造りの観光地としての川越を見た後、本町通りの商人町としての川越を感じながら、この店の暖簾をくぐるという動線が考えられる。その5分の歩みの中に、この街の過去と現在が交差していることに気づく。一人で静かに食事をしたいなら、カウンター席に座り、店員との会話を楽しみながらタレの味わいに向き合う。家族や親友との特別な時間なら、料亭部の個室で、懐かしいような落ち着きの中に身を置く。友人グループでの食事なら、テーブル席で、複数人の会話と食事を同時に楽しむ。——すき焼きという同じ料理を提供する店でありながら、客の使い方によって体験が大きく変わるのだ。それは、149年の歴史の中で、この店が「多様な客層を迎えるには、空間の多様性が必要だ」という学習を重ねてきたからかもしれない。営業時間や定休日は変わる可能性があるため、来店の数日前には電話(049-222-0102)で営業情報を確認してから向かうと確実だ。川越という街で、149年の時間を感じることができる食事体験。それが、すき亭吉寅での、この街での唯一無二の経験なのだ。

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