刈谷で唯一といわれる、いもかわうどん。塩を使わない平麺の弾力
きさんの看板は、いもかわうどんだ。江戸時代、東海道を行き来する人々のあいだで名を知られた平打ちの麺で、名古屋のきしめんの元祖ともいわれている。刈谷発祥とされながら、いつのまにか出す店も打ち方も途絶えていた——それを、この店が地域とともに復刻した。刈谷市観光協会も、地元の小麦粉で打った昔ながらのいもかわうどんとして紹介している一杯だ。使うのは地元産の小麦。特徴的なのは、生地に食塩を使わないことだという。塩を入れないぶん小麦そのものの香りが立ち、噛んだときの弾力が強く残る。なめらかなのど越しで一気に手繰る、一般的なうどんの感覚とは方向が違う。幅の広い平麺を、あごを使って味わう麺だと考えたほうが近い。公式サイトによれば、この店のメニューはどれも麺をいもかわうどんに替えられるという。そばの気分で来た日でも、天ぷらを付けた日でも、最終的にこの麺へ行き着ける設計になっている。何を頼むか迷うなら、この一択で構わない。品書きや価格は時期で動くことがあるので、出かける前に公式サイトを一度のぞいておくと確実だ。