マチノワ · 2026年 春号
2026-08-14
UOMI HONTEN ANJO

安城・和泉町の
老舗鮮魚店。

愛知県安城市は、海に面していない街だ。三河湾からも距離があり、鮮魚を扱う店にとって立地に恵まれた土地とは言えない。それでも和泉町の住宅街には、毎朝仕入れを重ねる鮮魚店がある。魚美本店だ。1926年の創業から数えて、まもなく100年を迎える老舗で、現在は三代目の祢宜田和彦氏が店を切り盛りする。三代にわたって安城の食卓に魚を届けてきたこの店は、刺身や惣菜の量り売りだけでなく、祝いごとの舟盛りや仕出し弁当まで一手に引き受けてきた。屋根に描かれた魚のキャラクターが目印で、平日でも200人、休日には300人が訪れるという。地元テレビの情報番組や地域情報サイトでもたびたび紹介されており、その都度「お祝いごとには魚美さん」という評判が語られてきた。海のない街で、なぜこれほど鮮魚が支持されているのか。仕入れの仕組みと、日々の商品構成、そして三代続く商売の姿勢から見ていきたい。

副題

碧南港仕入れの鮮魚と舟盛りを扱う、安城市の老舗惣菜店

編集

マチノワ編集部

碧南港仕入れの鮮魚と舟盛りを扱う、安城市の老舗惣菜店✦編集部厳選✦UOMI HONTEN ANJO✦5 POINTS✦2026年 春号✦碧南港仕入れの鮮魚と舟盛りを扱う、安城市の老舗惣菜店✦編集部厳選✦UOMI HONTEN ANJO✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

碧南港仕入れの鮮魚と舟盛りを扱う、安城市の老舗惣菜店。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。愛知県安城市は、海に面していない街だ。三河湾からも距離があり、鮮魚を扱う店にとって立地に恵まれた土地とは言えない。それでも和泉町の住宅街には、毎朝仕入れを重ねる鮮魚店がある。魚美本店だ。1926年の創業から数えて、まもなく100年を迎える老舗で、現在は三代目の祢宜田和彦氏が店を切り盛りする。三代にわたって安城の食卓に魚を届けてきたこの店は、刺身や惣菜の量り売りだけでなく、祝いごとの舟盛りや仕出し弁当まで一手に引き受けてきた。屋根に描かれた魚のキャラクターが目印で、平日でも200人、休日には300人が訪れるという。地元テレビの情報番組や地域情報サイトでもたびたび紹介されており、その都度「お祝いごとには魚美さん」という評判が語られてきた。海のない街で、なぜこれほど鮮魚が支持されているのか。仕入れの仕組みと、日々の商品構成、そして三代続く商売の姿勢から見ていきたい。

POINT01
鮮魚・仕入れ · 安城市和泉町

毎朝の仕入れ——碧南大浜漁港と名古屋柳橋市場、二つの仕入れ先が支える鮮度

安城市は三河湾から離れた内陸の街だが、魚美本店の刺身や舟盛りに使われる魚介は、毎朝仕入れられる。仕入れ先は二つ、碧南市の大浜漁港と、名古屋の柳橋市場だ。漁港からは地物の魚を、柳橋市場からは全国から集まる多様な魚種を、それぞれの日の状況に合わせて買い付けている。この二段構えの仕入れが、海に面していない安城でも、刺身が1皿650円ほどからという価格ながら約10種類を揃え、まぐろなら1皿に15切れというボリュームを出せる理由だ。分厚くカットされた刺身は、薄利であっても質と量を優先する店の姿勢そのものと言えるだろう。舟盛りに使うヒラメも、店頭に活け造りとして並ぶ日がある。二つの仕入れ先を併用しているのは、片方の漁が振るわない日でも、もう一方で品揃えを補える体制を作るためでもある。単なる調達手段ではなく、内陸の街に海の値打ちを毎日欠かさず運び込むための仕組みそのものだ。

刺身1皿650円~・約10種類・まぐろ15切れ
仕入れ碧南大浜漁港・名古屋柳橋市場(毎朝)
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POINT02
舟盛り・仕出し · 安城市

お祝いごとには魚美さん——舟盛り8,640円からが安城の定番になった理由

魚美本店を語るうえで欠かせないのが、舟盛りとオードブル、仕出し弁当という祝いごと需要への対応だ。舟盛りは8,640円から、ヒラメの活け造りを中心にまぐろやあわびなどを盛り込んだ豪華な一皿に仕立てる。利益率だけを見れば割に合わない商品だと言われながらも、注文の完成度を優先してきたことが、安城市内で「お祝いごとがあるときは魚美さん」と語られるまでの信頼につながっている。オードブルは5,400円から、仕出し弁当は1,080円からと幅広い価格帯を用意し、法事や会合、家庭の記念日まで用途に応じて選べる。三代目店主の祢宜田和彦氏は、こうした注文の一部を赤字覚悟で受けているとも言われ、価格よりも客の喜ぶ顔を優先する姿勢がうかがえる。これらはいずれも前日までの電話予約が必須で、当日ふらりと注文できるものではない。祝いの席という特別な機会に、確実に間に合わせるための仕組みだ。

舟盛り8,640円~・ヒラメ活け造り中心
予約仕出し弁当・オードブル・舟盛りは前日までの電話予約
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POINT03
惣菜・うなぎ · 安城市

20種類超の手作り惣菜と、月200本売れるうなぎ——日常使いを支える品揃え

魚美本店は祝いの舟盛りだけの店ではない。店頭には、あじフライや卵焼き、とりもも焼き、むつの照り焼きなど20種類以上の手作り惣菜が並び、日々の食卓を支えている。中でも三河一色産のうなぎは、白焼きと蒲焼きの両方に対応し、月に200本が売れるという看板商品のひとつだ。刺身も650円から1,000円台という価格帯で1皿ごとに買える量り売りで、まとめ買いせずに必要な分だけ買えるのが日常使いのしやすさにつながっている。あわびのやわらか煮や松前漬けといった珍味、手作りのからすみなど、鮮魚店ならではの一品も棚に並ぶ。地元産の青果や調味料、乾物、牛乳やジュースまで扱っており、鮮魚店でありながら小さな食料品店としての機能も持つ。惣菜と鮮魚、珍味、日用品までを一店で揃えられる構成は、近隣住民が用事のついでに立ち寄れる存在にもなっている。祝いごとの特別な一皿と、平日の惣菜という両極を同じ店内で成立させているのが、この店の商売の幅の広さだ。

惣菜あじフライ・卵焼き・とりもも焼き等20種類以上
うなぎ三河一色産・白焼き/蒲焼き・月200本
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POINT04
サービス・店舗の特徴 · 安城市和泉町

無料の魚捌きサービスと、屋根の魚キャラクター——買った魚をその場で下ごしらえ

店の屋根には魚のキャラクターが描かれ、遠くからでも鮮魚店だとわかる目印になっている。店内では、買った魚をその場でさばいてもらえる無料サービスを提供しており、1日あたり50人から60人ほどが利用しているという。魚を丸ごと買っても家で捌く手間がかからないという安心感が、鮮魚店に慣れていない客の来店ハードルを下げている。来店者は近隣住民だけでなく、寿司職人が仕入れに訪れることもあると言われ、プロの目にも応える鮮度と品揃えがうかがえる。平日で約200人、休日には約300人が訪れる規模の来店数は、駐車場が連日ほぼ満車になるほどだという。惣菜、うなぎ、刺身、舟盛りと商品の幅が広いぶん、一人客から家族連れ、業者まで来店の目的が分かれているのも特徴だ。品数の多さと接客の丁寧さから「おかずのテーマパーク」と称されることもあるほどで、単に魚を売る店という枠を超えた存在になっている。海に面していない街の一軒の鮮魚店が、これだけの集客力を持つ背景には、こうした細かなサービスの積み重ねがある。

サービス魚のその場捌き無料(1日50~60人利用)
来店数平日約200人・休日約300人
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POINT05
アクセス・立地 · 安城市和泉町

和泉町・丈山苑の近く——安城市中心部からのアクセスと立ち寄り方

魚美本店の住所は愛知県安城市和泉町宮前78番地。日本庭園として知られる丈山苑の近くに位置している。安城市の中心市街地からは車での移動が基本で、駐車場も用意されているが、連日にぎわうため到着時間には余裕を持っておきたい。営業時間は9時から19時、定休日は水曜と第3火曜だ。舟盛りやオードブル、仕出し弁当を利用する場合は、前日までの電話予約(0566-92-0022)が必須になるため、来店当日に思い立って注文することはできない。丈山苑を訪れたあとに立ち寄って刺身や惣菜を買って帰る、あるいは家族の集まりに合わせて数日前から舟盛りを予約しておく、といった使い方が現実的だ。買い物だけなら短時間で済むが、無料の魚捌きサービスを頼む場合は、多少の待ち時間を見込んでおくとよい。休日は駐車場が混み合いやすいため、時間に余裕を持って向かうと落ち着いて選べる。営業時間や定休日は変わることがあるため、来店前に最新情報を確かめておきたい。

住所愛知県安城市和泉町宮前78
営業時間9:00~19:00・水曜/第3火曜定休
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編集部のひとこと
創業から100年、三代にわたって安城の食卓に魚を届けてきた魚美本店。海のない街でありながら、舟盛りと惣菜という両極を同じ店内で成立させている。安城で祝いごとと聞いたら、まず名前が挙がる一軒だ。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

祝いごとで使うか、平日の惣菜として使うかで、魚美本店への向き合い方は変わってくる。舟盛りやオードブルを頼むなら、前日までに電話(0566-92-0022)で予約を済ませておくのが前提になる。当日の来店だけで豪華な一皿を用意してもらうことはできない。一方、刺身や惣菜、うなぎといった日常使いの商品は、量り売りで必要な分だけその場で買える。1皿数百円の刺身から選べるので、一人分の夕食用に立ち寄るのも難しくない。所要時間は買い物だけなら10分程度、魚をその場で捌いてもらう場合は少し待ち時間が生まれる。駐車場は用意されているが、平日200人、休日300人という来店数を考えると、混み合う時間帯を避けて動きたい。近くの丈山苑を訪れたついでに立ち寄る、あるいは家族の記念日に合わせて舟盛りを予約する、どちらの動線でも成立する店だ。うなぎは月に200本という数字が示す通り人気が偏りやすい商品なので、目当ての品がある日は早めの時間に足を運んでおくと確実だ。年末や慶事が重なりやすい時期は舟盛りやオードブルの予約が集中しやすいため、営業時間や定休日とあわせて余裕を持って電話で確かめておきたい。

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