キムチ専門店が仕込む、A4・A5等級の黒毛和牛
焼肉いちの軸にあるのは、A4・A5等級の黒毛和牛だ。等級表示は、脂肪交雑・肉の色沢・締まり・きめといった項目を基準に格付けされる公的な指標であり、A4・A5はその中でも上位に位置する。内陸の町の一軒に、この等級の肉を安定して仕入れる体制があること自体が、店の姿勢を物語っている。しかも、この店をプロデュースしているのは「テルちゃんキムチ」というキムチ専門店だ。キムチと焼肉は本来、切っても切れない組み合わせだ。発酵の酸味と旨みを知り尽くした作り手だからこそ、肉の脂の甘みを引き立てる添え物としてのキムチの立ち位置を熟知している。素材選びの基準を、キムチ作りから焼肉店経営へとそのまま持ち込んでいる、というのがこの店の成り立ちだ。看板に等級表示を掲げること自体、決して珍しくはないが、それを内陸の小さな町で維持し続けている点に、この店の本気度が表れている。キムチ屋という異業種からの参入だからこそ見えた、肉と発酵食品の相性という切り口が、この店の土台を形づくっている。