青山椒仕立ての麻婆焼きそば。四川の鍋が、町中華の値段で出てくる
厨房に立つのは、四川料理を専門としてきたシェフだ。看板には町中華と書きながら、鍋の中身は本格の系統に寄っている。その象徴が、四川風麻婆焼きそば 青山椒仕立て。麻婆を麺の上に落とし、青山椒で香りを立てる一皿で、麻婆豆腐でも焼きそばでもない位置に置かれている。麻婆豆腐そのものも品書きにあり、麻婆茄子丼という受け皿もある。青山椒の三文字をわざわざ料理名に掲げている以上、辛さより先に香りをどう立てるかに意図があると読める一皿だ。あんかけ系も厚い。五目あんかけ焼きそば、海老あんかけ焼きそば、天津飯はチリソースあんで出る。五目あんかけ焼きそばは海老を使ったあっさり塩味と紹介されていて、同じ技法のまま味の方向を振り分けている。青椒肉絲、海老のチリソース、中華ちらし、五目湯麺——名前だけ並べれば街の中華屋の品書きだが、作り手の出自が違う。麻婆茄子丼や中華ちらしのように、丼ひとつで完結する品が混ざっているのも、昼に短く立ち寄る側にはありがたい配置だ。何から頼むか迷った日は、店名と一緒に青山椒を覚えておくといい。