マチノワ · 2026年 春号
2026-09-10
MATSUZUSHI HONTEN INAZAWA

稲沢・中野宮町、生け簀のある活魚と寿司の一軒。
松寿司本店で選ぶ、昼の御膳と夜の会席

県道沿いに、白壁と瓦屋根の三階建てが立っている。屋根の下に松寿司の三文字。稲沢市の西寄り、中野宮町のあたりは田畑と住宅が交互に続く土地で、大きな建物はそう多くない。その中でこの一軒は、遠くからでも輪郭がわかる。駐車場は二十台分。道路に面した柱看板には、活魚料理、会席料理、大小宴会二百五十名様収容と並び、その下にうなぎ・ふぐ・すっぽんと書き足されている。寿司屋という言葉だけでは収まらない店だということが、暖簾をくぐる前に伝わってくる。玄関を入ると、正面に生け簀の水槽が据えられている。内陸の街で活魚を掲げるということは、そこに手間をかけ続けるということだ。稲沢で法事の膳を組むとき、家族の誕生日を祝うとき、昼にひとりで御膳を食べたいとき——用途の違う日が、この一軒の中で並んで成立している。

副題

活魚・寿司/稲沢市中野宮町/法事・宴会・家族の食事

編集

マチノワ編集部

活魚・寿司/稲沢市中野宮町/法事・宴会・家族の食事✦編集部厳選✦MATSUZUSHI HONTEN INAZAWA✦5 POINTS✦2026年 春号✦活魚・寿司/稲沢市中野宮町/法事・宴会・家族の食事✦編集部厳選✦MATSUZUSHI HONTEN INAZAWA✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

活魚・寿司/稲沢市中野宮町/法事・宴会・家族の食事。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。県道沿いに、白壁と瓦屋根の三階建てが立っている。屋根の下に松寿司の三文字。稲沢市の西寄り、中野宮町のあたりは田畑と住宅が交互に続く土地で、大きな建物はそう多くない。その中でこの一軒は、遠くからでも輪郭がわかる。駐車場は二十台分。道路に面した柱看板には、活魚料理、会席料理、大小宴会二百五十名様収容と並び、その下にうなぎ・ふぐ・すっぽんと書き足されている。寿司屋という言葉だけでは収まらない店だということが、暖簾をくぐる前に伝わってくる。玄関を入ると、正面に生け簀の水槽が据えられている。内陸の街で活魚を掲げるということは、そこに手間をかけ続けるということだ。稲沢で法事の膳を組むとき、家族の誕生日を祝うとき、昼にひとりで御膳を食べたいとき——用途の違う日が、この一軒の中で並んで成立している。

POINT01
活魚・にぎり寿司 · 稲沢市

玄関に置かれた生け簀が、この店の説明を先にしてしまう

引き戸を開けて最初に目に入るのは、席でも板場でもなく水槽だ。石畳風の床に囲まれたホールの中央に、黒い縁の生け簀が据えてある。松寿司本店が活魚料理を看板に掲げている理由は、この一台を見れば言葉での説明がいらない。切り身で仕入れて並べるのではなく、生きたまま店に置き、注文が入ってから包丁を入れる。海に面していない稲沢のような土地でこの設備を回し続けるのは、水の管理も仕入れの段取りも手間がかかる。それでも店はここを削っていない。寿司のほうは、市場から仕入れた旬の魚を職人が一貫ずつ握る。もうひとつ、この店が自分で手を入れているのが醤油で、既製品をそのまま卓に出すのではなく、店でブレンドしたものを使っている。ネタの構成で勝負する寿司屋は各地にあるが、最後に垂らす一滴まで調整している店はそれほど多くない。これ、地味に効く。ホールの壁には、建物の写真が三枚、額に入って掛かっている。同じ場所で長く商売を続けてきた店が、自分の来歴を客の目に入る位置に置いている。魚も、店の歩いてきた道も、隠さずに見せる。稲沢で寿司の名前を挙げるとき、この一軒が出てくる理由の芯はそこにある。

料理にぎり寿司・活魚料理・刺身
こだわり生け簀を完備/店でブレンドした醤油を使用
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POINT02
活魚料理・会席 · 稲沢市

うなぎ・ふぐ・すっぽん。寿司屋の看板からはみ出す守備範囲

駐車場の入口に立つ柱看板を、店に入る前に一度読んでおくといい。松寿司本店という店名の下に、活魚料理、会席料理、大小宴会二百五十名様収容と続き、さらにうなぎ・ふぐ・すっぽんの三つが別枠で掲げられている。寿司屋の看板としては、明らかに範囲が広い。壁面には船と魚を描いた大きな絵看板もあり、店が何を売りにしてきたかが建物ごと主張している格好だ。この幅は、実際に使うときに効いてくる。寿司を食べたい人、うなぎが食べたい人、生ものが苦手な人が同じ卓につく——法事や親族の集まりでは、これは珍しい状況ではない。一軒で全員の希望が着地するかどうかで、幹事の苦労はまるで変わる。グルメサイトの店舗情報では、創業から五十年近い年月が記されている。半世紀ちかく同じ場所で、寿司と活魚と会席を並行して回してきたということだ。守備範囲を広げた店はどこかが薄くなりがちだが、この店は範囲を広げたまま、地域の節目の膳を引き受け続けてきた。稲沢という街で、この規模の和の店がひとつあることの意味は小さくない。

扱う食材うなぎ・ふぐ・すっぽん・活魚
向く場面法事・慶事・親族の集まり・宴会
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POINT03
御膳・会席・持ち帰り · 稲沢市

昼の御膳から夜の会席まで、値段の幅で選べる

玄関脇には黒板の立て看板が出ていて、その日の推しが手書きで並ぶ。撮影されたときの黒板には、あん肝六百八十円、刺身千百円、おまかせ御膳二千二百円、日替りランチ千四百円、昼ランチ千二百円といった文字が読み取れた。昼はこのあたりの価格帯が中心になる。おまかせ御膳は品数が多いことで名前が挙がることが多く、一皿ずつ足していくより結果的に収まりがいい。夜に腰を据えるなら、寿司御膳や会席のコースが用意されている。御膳は三千五百円前後、会席は五千五百円前後という設定で、人数と用途に合わせて組み替えていく形だ。季節ものとしては牡蠣フライや大あさりが品書きに登場する。持ち帰りと出前にも対応していて、並寿司や上寿司、海鮮ちらし、鉄火丼、割子弁当、松竹梅の弁当といったところが揃う。家で食べる日と、店で食べる日の両方をこの一軒で賄える。ただし折詰や大人数の弁当は数が要るので、前日までに電話を入れておくほうが確実だ。なお黒板の内容も価格も時期で動くので、目当てがあるなら電話で聞いてから向かいたい。

昼の目安昼ランチ・日替りランチ・おまかせ御膳/千二百円〜二千二百円前後
夜の目安寿司御膳三千五百円前後・会席五千五百円前後(内容は変動)
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POINT04
座席・空間 · 稲沢市

掘りごたつ座敷と二階大広間。総席数百八十という器

玄関ホールの天井を見上げると、木を組んだアーチ状の意匠に和風の照明が並ぶ。生け簀の脇には赤い毛氈のベンチが置かれ、待つ場所がきちんと用意されている。ここまでで、宴席を受ける店だということが分かる作りだ。席は三種類。カウンターが十席、テーブルが百三十席、掘りごたつの座敷が十七卓で六十八名分。合わせて百八十席という規模になる。二階には大広間があり、百二十名から百五十名までの席が組める。柱看板には大小宴会二百五十名様収容とある。一階の百八十席に二階の大広間を合わせた規模だ。掘りごたつというのが、この店の使いやすさをかなり支えている。年配の方を連れて行っても正座を強いられず、子ども連れでも足を下ろして長居ができる。法事のあとの膳で、参列者の年齢がばらつくときにこの構造は効く。少人数の日はカウンターに座って昼の御膳を一つ、という使い方も成立する。同じ建物の中で、十人の法要と二人の食事が並行して進む。器が大きいというのは、そういうことだ。ただし大広間を使う日は席の組み方が必要になるので、人数と時間は早めに伝えておきたい。

席種カウンター10席/テーブル130席/掘りごたつ座敷68名(17卓)
宴席二階大広間120〜150名/建物全体で250名規模まで
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POINT05
アクセス・使い方 · 稲沢市

最寄りは名鉄尾西線・森上駅。車で向かう前提の立地

所在地は稲沢市中野宮町二十四。稲沢市といっても市域は広く、この住所は西寄り、祖父江町に近い側にあたる。最寄り駅は名鉄尾西線の森上駅で、直線で一・八キロほど。歩けば二十五分から三十分は見ておく距離になる。名鉄名古屋本線の国府宮駅からは四キロ超、JR稲沢駅からは六キロ近く離れているので、駅名だけで距離感を測ると当てが外れる。要するに、車で向かう店だ。その前提に立てば、駐車場二十台という数字は心強い。県道に面していて、区画線の引かれた広い平場が建物の前に取ってある。運転に慣れていない人でも入れやすく、法事のように複数台で乗りつける場面でも困りにくい。周囲は田畑と住宅で、駅前の繁華な通りとは時間の流れ方が違う。逆に言えば、名古屋方面から車で三十分ほど走って、静かな場所で膳を囲むという使い方ができる。店から三キロ圏内であれば出前の相談にも応じているため、近隣に住んでいるなら家での食事にも回せる。夜に酒を合わせるつもりなら、運転する人を先に決めておくこと。この立地では、そこだけは代えがきかない。

所在〒492-8393 愛知県稲沢市中野宮町24/TEL 0587-36-3738
アクセス名鉄尾西線・森上駅から約1.8km/駐車場20台
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編集部のひとこと
海のない街で生け簀を抱えるのは、手間を引き受けるということだ。松寿司本店は、その手間を五十年ちかく続けてきた。寿司も、うなぎも、ふぐも、法事の膳も、同じ屋根の下で回っている。稲沢で人が集まる日に名前が挙がるのは、そういう店だからだ。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

柱看板に並ぶうなぎ・ふぐ・すっぽんの三文字を先に読んでから暖簾をくぐると、頼み方が変わる。寿司屋のつもりで入ると選択肢を見落とす店だからだ。昼に使うなら十一時から十四時、料理のラストオーダーは十三時三十分。黒板の昼ランチや日替りを選べば千二百円から千四百円前後、品数を求めるならおまかせ御膳。ひとりならカウンターが早くて気楽だ。夜は十七時から二十一時で、ラストオーダーは二十時。閉店ぎりぎりに滑り込む形だと会席は組みにくいので、コースを頼む日は十九時前には席についておきたい。二人で会席と酒なら、ひとり七千円前後を見ておくと計算が合う。法事や宴会で使う場合は話が別で、掘りごたつ座敷か二階大広間かで席の作り方が変わる。人数、時間、膳の内容、送迎の有無を電話で先に詰めておけば当日が楽になる。持ち帰りの折詰も同じで、前日までに数を伝えるのが安全だ。定休は火曜だが、祝日にあたると前後にずれる。営業時間や品書きは変わることがあるため、出かける前に電話で確かめておくと確実だ。足は車一択。森上駅から歩けなくはないが、膳を囲んだあとの三十分は長い。

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