マチノワ · 2026年 春号
2026-09-12
KYOYUUKAN FUJINOMIYA

富士宮駅から数分の一軒。本手打ちそば蕎友館で、毎日の蕎麦に向き合う

富士宮という街は、蕎麦で知られている。複数の流派が共存し、それぞれが自分たちの蕎麦観を大切にしている場所だ。本手打ちそば蕎友館も、その一つ。店の名前である「蕎友館」は「蕎麦で心を通い合わせる」という想いから名付けられた。長野県の「11号種」と北海道の「2-8比」という、異なる2つの蕎麦の品種を季節に応じて使い分け、仕込みには富士山の湧き水を用いる。毎日同じ場所で、同じ湧き水で、季節ごとに異なる蕎麦を手打ちで製造する——その営みの中に、この店の哲学が凝集されている。京都の名店「祇園権兵衛」と東京の「岡本」で修行を積んだオーナーが、今この場所で何を守り、何を実現しているのか。

副題

手打ちそば / 静岡県富士宮市 / 季節で変わる蕎麦

編集

マチノワ編集部

手打ちそば / 静岡県富士宮市 / 季節で変わる蕎麦✦編集部厳選✦KYOYUUKAN FUJINOMIYA✦5 POINTS✦2026年 春号✦手打ちそば / 静岡県富士宮市 / 季節で変わる蕎麦✦編集部厳選✦KYOYUUKAN FUJINOMIYA✦5 POINTS✦2026年 春号✦
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POINT5

手打ちそば。

編集部が選んだ5つのポイントを順にご紹介します。富士宮という街は、蕎麦で知られている。複数の流派が共存し、それぞれが自分たちの蕎麦観を大切にしている場所だ。本手打ちそば蕎友館も、その一つ。店の名前である「蕎友館」は「蕎麦で心を通い合わせる」という想いから名付けられた。長野県の「11号種」と北海道の「2-8比」という、異なる2つの蕎麦の品種を季節に応じて使い分け、仕込みには富士山の湧き水を用いる。毎日同じ場所で、同じ湧き水で、季節ごとに異なる蕎麦を手打ちで製造する——その営みの中に、この店の哲学が凝集されている。京都の名店「祇園権兵衛」と東京の「岡本」で修行を積んだオーナーが、今この場所で何を守り、何を実現しているのか。

POINT01
手打ちそば · 富士宮市

蕎麦の個性を引き出す、富士山の湧き水での手打ち

蕎麦という食材は、実は非常に繊細だ。同じ品種の蕎麦でも、仕込みに用いる水によって風味が変わり、打つ人の力加減によって食感が変わる。本手打ちそば蕎友館では、その基本になる水として、富士山の湧き水を用いている。毎日その湧き水で蕎麦を打つというのは、蕎麦という食材に対して、いかに真摯に向き合うかという姿勢の表れだ。富士山の湧き水は、蕎麦の個性を最も自然な形で引き出すものとされている。そこに、長野県の「11号種」と北海道の「2-8比」という2つの蕎麦の品種が組み合わさる。季節や料理の特性に合わせて、どちらの品種を用いるかを選択する——それは単なる「在庫管理の工夫」ではなく、蕎麦という食材の個性を最大限に活かすための判断なのだ。毎日手打ちされるそれぞれの蕎麦の一杯一杯に、そうした配慮が詰まっているという事実が、この店を特別にしている。来店する度に、「今日のこの店の蕎麦は、どんな仕込みで、どんな蕎麦の品種で、どんな味わいなのか」という期待感を持たせる営みだ。

仕込み用水富士山の湧き水
蕎麦の品種長野県11号種・北海道2-8比(季節で使い分け)
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POINT02
季節変化・蕎麦の選択 · 富士宮市

季節ごとに蕎麦の品種を選ぶ、柔軟な営みの意義

多くの蕎麦店は、一年を通じて同じ蕎麦を提供している。しかし本手打ちそば蕎友館は異なる。長野県の「11号種」と北海道の「2-8比」という2つの蕎麦を、季節に合わせて使い分けるのだ。なぜそんなことをするのか。それは、蕎麦という食材の特性が、季節によって変わるからである。新そばの時期と古い蕎麦の時期。気温が高い季節と低い季節。湿度が高い季節と低い季節。こうした環境の変化に対応するため、蕎麦の品種をも変えるのだ。それは決して、蕎麦の品質を「保つ」ためだけではない。季節ごとに異なる蕎麦の特性を積極的に「活かす」ことで、初めて、その季節ならではの蕎麦の味わいを実現できるということだ。春にこの店を訪れる読者が味わうのは、春用に選定された蕎麦の営み。夏に訪れれば、夏用の蕎麦。秋冬も同様だ。一年を通して「同じおいしさ」を提供するのではなく、「その季節のおいしさ」を提供するという哲学に基づいているのだと思う。そのアプローチは、来店者に対して「毎回違う季節の蕎麦が食べられる」という驚きと新鮮さを与え続ける。定期的に訪ねるなら、季節を意識しながら来店することで、より深い食事体験が得られる。

蕎麦の使い分け季節・環境に合わせて長野11号種と北海道2-8比を選択
営業スタイル季節ごとの個性を活かす手打ちそば製造
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POINT03
オーナー背景・職人経歴 · 富士宮市

祇園・東京での修行が形作った、蕎麦への向き合い方

本手打ちそば蕎友館のオーナーは、ただ地元で蕎麦を打ち始めたわけではない。京都の名店「祇園権兵衛」と東京の長年営業を続けている「岡本」という、2つの著名な蕎麦店で修行を重ねた人物だ。祇園は京都の花街の中心地。そこで営業する「祇園権兵衛」は、京都の蕎麦文化を代表する店の一つだ。一方、東京の「岡本」は、江戸蕎麦の伝統を守り続ける老舗である。京都での経験と東京での経験。その2つの修行地で何を学び、今どう活かしているのかは、毎日の営みの中に表れている。複数の修行経験を持つからこそ、「この土地での蕎麦の在り方」を考える視点が生まれるのだと思う。富士宮という街で、複数の流派が存在する中で、オーナーが「長野と北海道の2つの蕎麦を使い分ける」というアプローチを選んだのは、そうした修行経歴と無関係ではないはずだ。京都で学んだこと、東京で学んだこと。それらを統合し、富士宮という新しい土地で表現する。その試みが、毎日の手打ちの営みとなっている。来店する度に、目の前で打たれる蕎麦の中に、複数の修行地での経験が凝集されているという事実が、この店を特別にしているのだと思う。

修行経歴京都『祇園権兵衛』・東京『岡本』
営業地静岡県富士宮市(蕎麦の複数流派が共存する街)
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POINT04
営業環境・利便性 · 富士宮市

駐車場7台、ランチもディナーも両対応の営業設計

本手打ちそば蕎友館は、富士宮駅から数分という立地にありながら、駐車場を7台用意している。この設計は、「自動車での来店も想定した、柔軟な営業スタイル」を示している。営業時間は、ランチが11時30分から14時、ディナーが17時から20時30分(最後の注文は19時30分)。この時間帯の設定自体が、「昼間に立ち寄る層」と「夜に食事をする層」を意識した戦略になっている。ランチタイムは、駅周辺の会社員や商店の従業員が、短い休憩時間を活用して立ち寄る時間。この店の場所は駅から数分なので、ランチの限られた時間の中で来店・食事・退店が可能だ。ディナータイムは、仕事帰りの個人客や、休日の夜に食事をしたい家族連れや友人同士が、少しゆっくり時間をかけて食事をする時間帯。営業時間の幅を広く取ることで、複数のシーンに対応している。駐車場も、近所の公共施設との使い分けや、自動車でのアクセスを計画している来店者を想定している。こうした多角的な営業設計が、この店を「毎日様々な人が訪ねる蕎麦屋」として成立させているのだと思う。

駐車場7台完備
営業時間ランチ 11:30〜14:00 / ディナー 17:00〜20:30(ラストオーダー19:30)
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POINT05
営業情報・来店準備 · 富士宮市

来店前の確認が、スムーズな食事につながる

営業しない日が決まっている。毎週木曜日、毎月第3金曜日、そして1月末と8月末。この営業日程を事前に把握しておくことは、この店を訪問する上での前提になる。来店希望日が定休日に当たっていないか、事前に確認することが大切だ。メニューや価格、その日の混雑状況についても、来店前に電話(0544-23-0260)で確認しておくと、当日はスムーズに過ごせる。公式ホームページやSNSなども確認しておくと、より確実だ。「本日のおすすめ」や「季節限定」といった情報は、毎日更新される可能性がある。そうした情報を事前に把握した上で来店するのと、何も知らずに来店するのでは、食事体験の深さが大きく変わる。この店が「季節ごとに蕎麦の品種を変える」というアプローチを取っているなら、来店前に「今この季節、どんな蕎麦が使われているのか」を知って行くと、その蕎麦の個性をより深く味わえるはずだ。初訪問なら、来店希望日時を決めた段階で、一度電話連絡を入れるといい。混雑状況、定休日確認、おすすめ品の確認——その一手間が、この店での食事体験を、より充実したものにするのだと思う。季節が変わるたびに訪ねたくなる蕎麦屋だからこそ、その度に「今この季節、この店は何を提供しているのか」を事前リサーチしてから向かう。そうした付き合い方が、この店の営みの本質を最も深く理解する方法なのだと思う。

定休日毎週木曜・毎月第3金曜・1月末・8月末
電話0544-23-0260
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編集部のひとこと
毎日同じ湧き水で、季節に応じた蕎麦を手打ちで製造する——その営みは決して新しくはないが、複数の修行地での経験を持つオーナーだからこそ実現できる一軒。富士宮という蕎麦の街で、自分たちのやり方を静かに貫き続ける蕎麦屋だ。
マチノワ編集部
編集後記末

最後に、歩き方。

富士山の湧き水で打つ蕎麦と季節の変化は、不可分の関係にある。春夏秋冬、その時々に合わせて品種を選ぶという営みは、単なる「商売上の工夫」ではなく、京都・東京での修行を通じて学んだ蕎麦への向き合い方なのだと思う。この店を利用する場合、ランチで気軽に立ち寄るのもいい。ディナーでゆっくり時間をかけるのもいい。しかし最も良い使い方は「季節が変わるたびに、何度も訪ねる」ことだろう。春に長野11号種で打った蕎麦。夏に北海道2-8比で打った蕎麦。秋冬も同様に、季節ごとに異なる蕎麦の営みに触れるために、繰り返し来店する——そうした使い方の中にこそ、この店が「蕎麦で心を通い合わせる」という想いで営み続ける価値が現れるのだと思う。来店前には必ず電話で定休日を確認しておくこと。営業時間、その日のおすすめ、混雑状況についても聞いておくと、当日はスムーズだ。駐車場7台を活用して自動車でのアクセスも可能。駅から数分の立地だからこそ、ランチなら短時間の来店、ディナーなら夜の時間をゆっくり使える。所要時間はランチなら40分から60分、ディナーなら60分から90分が目安。富士宮という街で、複数流派が共存する中で、この店はどんな蕎麦観を貫き続けているのか。その営みの本質を知るには、何度も季節を変えて訪ねることが大切なのだと思う。

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