大正八年から継がれる、お麩のおでん
宝光亭の看板は、なんといってもお麩を具材にしたおでんだ。使っているのは、道を挟んだ向かいの店で売られている「かたやきふ」。乾物の麩をそのままおでんの鍋に沈め、出汁をたっぷり吸わせて仕上げる。箸を入れるともっちりとした弾力があり、口に運ぶとつるりとほどけていく、独特の食感が持ち味だ。大正八年の創業以来、この土地で商いを続けてきた店だけに、出汁は継ぎ足しを重ねてきたもので、複雑な旨みが染み込んでいる。大根やじゃがいもといった定番の具にも同じ出汁がしっかり回り、ひと椀で満足できる仕立てになっている。おでんセットとして提供されており、参拝の合間に軽く済ませたい日にも、じっくり腰を据えて味わいたい日にも対応できる一皿だ。参道沿いの店だからこそ成立する、地の食材と長年の出汁が組み合わさった名物だと言える。