赤城どりと手揉み麺。九百円の一杯が、この店の基準になっている
品書きの左上、最初に置かれているのがラーメン九百円だ。説明書きは短い。赤城どりと手揉み麺の正統派醤油ラーメン。産地の名前と、麺の作り方と、スープの系統。この三語だけで、店が何を軸にしているかは言い切れている。赤城どりは群馬の鶏で、県内の飲食店では特別珍しい素材ではない。ただ、環状線沿いの九百円の一杯にこれを使い、しかも麺を手で揉んで縮れを付けているとなると、話は少し変わってくる。手揉みは、機械で切り出したストレート麺より工程がひとつ増える。増えた分だけスープの持ち上がり方が変わり、啜ったときの当たりが柔らかくなる。丼を見ると、チャーシューが放射状に敷かれ、中央にメンマと青ネギ。醤油の色は濃すぎず、澄んだ側に寄っている。トッピングは味玉百五十円、めんま百五十円、青ネギ百五十円、のり五枚百円と単品で足せて、豚チャーシューは二倍増し二百五十円、三倍増し三百八十円。麺大盛は百五十円だ。九百円から始めて、その日の腹具合で積み上げていける構成になっている。この店の物差しを先に知っておきたいなら、入口はここでいい。