筍会席と炭火炉端、二つの顔を持つ料理
佳筍という店名は、春に旬を迎える筍にちなむ。3月中旬から5月上旬にかけては、筍を主役に据えた会席料理が名物として知られ、季節ごとにハモや松茸など旬の食材を替えながら、6,600円の予約制会席として提供されている。会席は一皿ずつ献立が組まれるコース仕立てで、旬の食材が入れ替わるたびに顔ぶれが変わるため、同じ会席でも訪れる季節によって味わえる内容が違うのも特徴だ。もう一つの顔が、ディナーで出される炭火の炉端焼きだ。椎茸の肉詰めなどの串焼きから、活け海老や活けアワビといった魚介まで、炭火であぶった一皿を比較的手が届きやすい価格帯で味わえる。会席で季節の一皿をじっくり楽しむ日もあれば、炉端焼きを何本か頼んでつまみながら過ごす日もあり、同じ店でありながら訪れる目的によって選び方が変わる。古伊万里や魯山人写しの器を使うという盛り付けへのこだわりも、この店の料理を単なる居酒屋の炉端焼きとは一線を画すものにしている。会席か炉端焼きか、どちらを主役に据えるかで、佳筍という店の見え方はずいぶん変わってくる。