編集後記末
最後に、歩き方。
素材を見極め、季節の変化を握りに表す職人の手を見つめながら食べるなら、知多半田駅からの22分という距離は、「行く価値のある移動」に変わる。ランチなら昼休みの貴重な時間を江戸前の握りで満たす20分の体験として、ディナーなら仕事帰りに夜の静けさの中で季節のネタを確認する一時間として、この店は異なる物語を用意している。一人でカウンターに向かうなら、左右の客や握り手の手元を観察しながら自分のペースで食べ進められる自由度がある。友人と二人で訪れるなら、落ち着いた会話と握りのバランスを丁度よく保ったまま夜を過ごせる。二度、三度と通う中で、季節ごとのネタの変化を追跡する楽しみも生まれる。予約は推奨されるため、事前に電話で「その日のおすすめネタ」を聞きながら予約を入れるという流儀が自然だ。来店時間は、ランチなら30分程度、ディナーなら1時間から1時間半を見ておくと、焦らずに済む。予算は、ランチでランダムに握りを頼むなら2,000円前後、ディナーで季節ネタの提案を受けながら少し飲むなら3,500円から4,000円の帯に収まることが多い。営業時間や定休日、メニューの構成は変更される可能性があるため、初訪問でも二度目以降の来店でも、事前に電話を入れて最新の営業情報を確認しておくことが、計画を立てやすくする。知多半島の住宅街にありながら、その存在を知る人には「必ず訪ねる一軒」という評価が定着している店。江戸前握り寿司の本義を問い直す価値が、ここにはある。