断面で見せる厚巻き。ごまかしの効かない一本を看板に置く
すし処 隆の品書きで名前が挙がりやすいのが、厚く巻かれた巻き寿司だ。穴子巻きのセットが用意されており、巻き物がこの店の顔の一つになっている。 巻き寿司は、握りとは仕事の性質が違う。握りが数秒で形になるのに対し、巻きは具を並べる順番、酢飯の量、海苔を締める力加減が、すべて切った断面にそのまま出る。太さが増せばなおさらで、中心がずれていれば一目で分かる。厚い一本を看板に置くということは、その断面を毎日客の前に出し続けるという意味になる。 もちろん握りも軸にある。握り寿司のセットは昼の品書きの中心で、夜は三千円台の予算帯でこの店の寿司に向き合える。奈良県は海に面していない県だ。魚は市場から運ばれてくるもので、だからこそ仕入れの日によって並ぶネタは動く。同じセット名を頼んでも、訪れた日で中身が入れ替わることは起こりうる。品書きの文字だけでは決まらない部分が残っているということで、その日に何が良いのかは、店で直接聞くのが一番早い。メニューや価格は時期で動くので、訪れる前に電話で確かめておきたい。