予約の電話から始まる、その日のためのオリジナル懐石
頼みちの料理は、品書きから選ぶ形をとっていない。公式が案内しているのは、客の予算・アレルギー・その他の要望に基づいてオリジナルコースを提供するという方針だ。つまり注文は席に着いてからではなく、予約の電話の時点ですでに始まっている。公開されているコースの一例をたどると、その組み立て方が見えてくる。先付はモズクとクラゲと海老のビネガードに、ミニトマトのコンポートとモッツァレラチーズを合わせたカプレーゼ風。お造りは本日の鮮魚カルパッチョを和風サルサソースで、本鮪・真鯛の昆布〆・オーロラサーモン・活帆立・赤海老・ランプフィッシュキャビアが一皿に並ぶ。魚料理は伊勢海老の雲丹焼きと帆立のディエポワーズに紫キャベツのピクルスを添え、肉料理は黒毛和牛A5ヒレステーキとフォアグラのソテー。食事は蛤と菜の花の土鍋ご飯を潮仕立てにしていくらを添え、海老の赤出汁と自家製の糠漬けが付く。甘味は豆乳ときな粉のブランマンジェに苺みるくソース。和食の骨格に洋の技法を差し込む構成で、店はこれを、伝統が息づくなかの革新的な和食と表現している。あくまで一例であり、同じ内容が毎回出るわけではない。そこがこの店の面白いところでもある。