中華そば八百円。麺類と定食が同じ紙の上に並ぶ、食堂の品書き
北さん家に付いている業態の名前は、定食であり、食堂であり、和風ラーメンである。この三つが並列で並んでいること自体が、店の立ち位置を説明している。看板の一杯として名前が挙がるのは中華そばで、価格は八百円。ラーメン専門店の看板商品としてではなく、食堂の品書きの中の一杯として置かれている。定食は生姜焼き定食が千円、マーボー豆腐定食が八百円。麺類はほかに、そばと稲庭うどんが用意されている。稲庭うどんは秋田県湯沢市の稲庭町を発祥とする県の名物で、県内の食堂に並んでいること自体は珍しくない。ただ、中華そばと生姜焼き定食と稲庭うどんが同じ紙の上に載るという状態は、専門店では起こらない。今日は麺の気分なのか、ご飯の気分なのか、決めきらないまま入っても着席してから選べるということだ。価格帯を見ても、主菜は八百円から千円のあいだに収まっている。平日の昼に働いている人が、財布の中身を計算せずに引き戸を開けられる線に置いてある。品書きと価格は時期によって動くことがあるので、目当てを決めて向かう日は電話で先に確かめておきたい。